2011年6月5日日曜日

染まる


つい最近、1年生のG君と話していた時のこと。
北陸出身の彼は、
「東京に染まりたくないです。
地元の友達に、おまえ染まったなって言われるのは、どうしてもいやです」
と言います。
それも1つの考え方、生き方ではあるのでしょう。
でもね……

もちろん押し付けるのではなく、
こんなことを想像してみたら、とわたしは彼に言いました。

「ケース1。それは東京の大学に来た男の子が、
一切東京に染まらず、なににも染まらず、
4年後、勉強だけして、元のままで地元に帰る場合。

ケース2。東京の大学に出てきた男の子が、
1年目は東京に染まりまくり、
でも2年目には少し物足りなくなって、
今度はNYにずぶずぶに染まり、
もうなにからなにまでNYじゃないと気が済まなくなり、
でも3年目には、少しおなか一杯になり、
今度はボルネオに夢中になり、
部屋には天狗猿のポスターも飾り、
でも4年目には、なぜかアフリカが恋しくなり、
特にチュニスがなくちゃ夜も日も明けなくなり、
そして…… 地元に帰る場合。
さあ、どっちの生き方がスケールが大きいと感じる?」

なんだか、あまりに図式的だし、
しかもどこかわたしが過剰反応してしまったようで、
G君はちょっと引いてたかも。
でもこれには理由があって……

昔、「木綿のハンカチーフ」という歌があって、苦手でした。
特に、田舎に残るらしい女性が、
都会へ行く男性に向かっていうセリフ、
「都会の絵の具に染まらないで帰って」
これを聞くたびに、ほんとにユーウツな気分になったものです。
それ以来、「染まる」という動詞は、
わたしにとってのアレルゲンと化しているようなのです。

G君にもこのことを話すと、
ああそれで、というような表情をしていたので、
やはりわたしが反応し過ぎだったのかもしれません。

G君は驚いたでしょうか。
すみませんでした!
でも彼は優秀な学生だから、
こういう考え方もあるんだということは、
分かってくれたと思います。

でもいいなあ、まだ18歳か……