『サーミランドの宮沢賢治』
を読んでみました。
おもしろかったです!
これは、詩人とミュージシャンという、
なかなか稀有な組み合わせの二人による、
北の地帯の紀行です。
そして、よく書けた紀行文はそういうものなんでしょうが、
読み終わった今、
年始早々、フィンランドの北の「果て」まで旅してきた気分です。
(自分は持ってもない)スノーブーツで雪道もたくさん歩いて!
「サーミランド」というのは、
「サーミ人の土地」のことだそうです。
(いわゆる「ラップランド」のこと。)
そういう「北」を目指すことになったきっかけは、
宮沢賢治にあります。
彼の「北」を辿るというか、延長するというか、
自分も生きてみるというか。
そしてフィンランドの「果て」の村には、
詩人の友人が母親と暮らしていて、
二人はそこで「となかい」料理をふるまわれもします。
(いい時間!)
思慮深い二人なのに、
どこか「珍道中」風なところも見せてくれる、サービス精神もあります。
(微笑ましい!)
わたしは、賢治については通りいっぺんの知識しかありませんが、
それでも十分おもしろかったので、
賢治ファンなら大変なことになるでしょう!
詩人とは、管啓次郎、
ミュージシャンは、小島敬太(ケイタニーラブ)。
詩人の言葉はいつも通り、時に瞬時に氷結し、読むものを立ち止まらせます。
ミュージシャンの耳は、わたしには到底聞こえそうもない音を聞き取り、
それを掌に載せるように差し出してくれます。
まさに、この時期に読むのにぴったりの本でした。