2025年1月16日木曜日

『サーミランドの宮沢賢治』

白水社から、1月10日に発売されたばかりの、

『サーミランドの宮沢賢治』

を読んでみました。
おもしろかったです!

これは、詩人とミュージシャンという、
なかなか稀有な組み合わせの二人による、
北の地帯の紀行です。
そして、よく書けた紀行文はそういうものなんでしょうが、
読み終わった今、
年始早々、フィンランドの北の「果て」まで旅してきた気分です。
(自分は持ってもない)スノーブーツで雪道もたくさん歩いて!

「サーミランド」というのは、
「サーミ人の土地」のことだそうです。
(いわゆる「ラップランド」のこと。)
そういう「北」を目指すことになったきっかけは、
宮沢賢治にあります。
彼の「北」を辿るというか、延長するというか、
自分も生きてみるというか。

そしてフィンランドの「果て」の村には、
詩人の友人が母親と暮らしていて、
二人はそこで「となかい」料理をふるまわれもします。
(いい時間!)

思慮深い二人なのに、
どこか「珍道中」風なところも見せてくれる、サービス精神もあります。
(微笑ましい!)

わたしは、賢治については通りいっぺんの知識しかありませんが、
それでも十分おもしろかったので、
賢治ファンなら大変なことになるでしょう!

詩人とは、管啓次郎、
ミュージシャンは、小島敬太(ケイタニーラブ)。
詩人の言葉はいつも通り、時に瞬時に氷結し、読むものを立ち止まらせます。
ミュージシャンの耳は、わたしには到底聞こえそうもない音を聞き取り、
それを掌に載せるように差し出してくれます。

まさに、この時期に読むのにぴったりの本でした。