2010年12月6日月曜日
TCHAO PANTIN
今日は、買っておいたDVD、『チャオ・パンタン』を見ました。
この映画については、以前少しここでも触れましたが、
こうしてじ~っと見るのは、そう、かれこれ20数年ぶりでしょうか。
日本公開は1986年で、その後何度か授業で見せたりしました。
(舞台のほとんどが夜なので、
ちゃんとしたAVルームがある大学でだけ、見せました。
カメラマンは、ブルーノ・ニュイッテンです。)
http://www.youtube.com/watch?v=GlfbpZ0Q8tk
この予告の冒頭のシーン、
(そして上のジャケ写も)
これは、バルベス近くのシャルトル通りですね。
背景にメトロが見えますが、
左はラ・シャペル、右はバルベスです。
ちなみに主人公が働くガス・スタンドは、
ラ・シャペル駅前の、ラ・シャペル広場がある位置ですね。
大作でも、名作でもないけれど、ちょっといいです。
ああ、フィルム・ノワールだなあ、という感じ。
夜の、濡れた石畳。そんなイメージ。
この映画が、単なるフィルム・ノワールと違うのは,
アンコニナ演じる青年が、アラブ系ユダヤ人だということ。
ベルヴィルあたりが物語の中心なんですが、
だからこそ、この手の映画であっても、
白人ばかりとはいかなわけですね。
(監督のクロード・ベリ自身もまた、ポーランド系ユダヤ人です。)
ちなみに彼の部屋の本棚には、
恐るべき数のクセジュ文庫が詰め込まれていました。
それからタイトルのパンタンですが、
これはまず「操り人形;道化」みたいな意味があります。
(ゴッドファーザーのポスター、思い出しますね。)
それから地名として、パリのPorte de Pantin があります。
ベルヴィルの近くです。
原作小説のタイトルが、 pantin と小文字で始まってるので、
やはり第1義的には「操り人形」でいいのでしょうが、
地名のことも、さらには、Pantin を Paris の別名だという見方もあるようです。
ただ、久しぶりに見て思うのは……
かつて、主人公はだいぶ年上に見えたのに、
今は明らかに年下!
う~ん、そうかそうか。そう思ってるのか。
そんなに思いつめなくても、なんて言いたくなる場面もあって……
18区を舞台にしたノワール系の作品、
もう少し見てみるつもりです。
*追記:
2012年11月発売の『エキゾチック・パリ案内』(平凡社新書)の中で、
この映画の舞台について、詳しく書きました。
よろしければ!