2016年1月5日火曜日

『身をかわして』

この映画のことは、
いつか書くチャンスがあるだろうと思っていたのですが、
そう思いつつ早数年……。
このフィルムは、
時々、アンスティテュなどで上映されるものの、
国内版DVD もなく、
とても有名&高評価な割にはなかなか見られない、
幻の映画になってしまった感があります。

https://www.youtube.com/watch?v=Cdjt61a-n0Q

アブデラティフ・ケシシュ監督は寡作で、
これまでに5本しか撮っていません。
その、第2作目が『身をかわして』です。

HLMが林立する郊外。
移民系の生徒が目立つ高校で、
小さな演劇が行われることになり、
出演する数名は、練習に励みます。
一方、彼らを含む男の子・女の子たちは、
「恋愛」問題にどっぷり浸かっています。
付き合ってたのに……もう別れた、いや、別れてない……
あの娘が誘惑した……誘ったのはあたしじゃない……
彼はわたしのもの……彼の人生よ……あいつ何様のつもり?……

郊外映画として傑出した出来なのは間違いないと思います。
高校生たちが駆使する郊外語と、
劇中の(マリヴォーの)フランス語との、
恐ろしいほどの落差。
映画のドラマと、
劇中劇のテーマとの関連、
仲間同士での激しいぶつかり合いと、
彼らの連帯感。
そして、主役のサラ・フォレスティエが若い!
(『戦争より愛のカンケイ』とは、ずいぶん違います。)
こんなに有名な作品じゃなければ、
きっと論文を書いただろうと思います。

今回、英語字幕版を買い、
久しぶりに見てみたので、
この機会を捉えて書いておくことにしました。