2016年10月16日日曜日

『兵隊やくざ 殴り込み』

というわけで、シリーズ第7作。
実質的な完結編を見ました。
(もう1作、戦後のお話があります。)

例の、主人公に弾は当たらない、は、
ここでも炸裂していますが、
この第7作は、
なんといっても敗戦が織り込まれ、
他とは違うニュアンスを帯びています。
印象的だったのは、
敗戦の判明の仕方。
世話になった少尉が率いる小隊が、
きわめて不利な状況に陥ったと知るや、
義理堅い大宮一等兵は、たった一人で駆けつけます。が、
すでにその小隊は完全に玉砕。
そして彼は、敵軍に対して、「一世一代の殴り込み」をかけ、
それを奇跡的に成功させます。
そして少尉が失った「栄光の」軍旗を取り返すと、
兵舎に戻るのですが、そこで彼は知るのです、
戦争は、「終わっていた」ことを。
映画はまったく強調しませんが、
軍旗を守ろうと玉砕した小隊は、
そして「殴り込み」で死んだ日本兵も、
まったく無駄なことだったわけです。
誠実で将来ある少尉の死も、犬死にだったのです。
ここに、制作者の一つのメッセージを見出すことができるのでしょう。
戦争ほど、馬鹿げていて、おそろしい無駄は、ないでしょう。

大宮一等兵も、有田上等兵も、
たしかに戦わざるを得ない場合はありました。
でも二人は、決して、
お国のために戦ってはいませんでした。
封建主義の中で腐敗した陸軍こそ、
彼らの敵でした。
そうした基本的スタンスがあるからこそ、
つい、第7作まで見てしまったわけです。
(でもやっぱり、第1作がベストでしょうか。)