ファティ・アキン監督には、
有名な「三部作」があります。
わたしはどれも見てなかったので、
ここで見てみることにしました。
まずは、(作られた順とは違うんですが)
「悪」を描いたとされる
『ソウル・キッチン』
です。
https://www.youtube.com/watch?v=pwAWWAn_l9o&t=1s
Mmm、これは好きでした。
荒唐無稽なエピソードも複数あるんですが、
気になりません。
現代のハンブルク。
ギリシャ系ドイツ人のジノスは、
倉庫をそのまま使ったようなレストラン、
ソウル・キッチンのオーナー・シェフです。
といってもその店のメニューは、
魚のフライ、肉団子、ピザ、フライドポテト、などなど。
つまり、冷凍食品もふんだんに使った、B級料理です。
(でもこの店の常連たちは、これがお気に入り。)
ジノスには兄がいて、
今、限られた時間内の仮出所を認められるようになったところ。
またジノスの(ヨーロッパ系ドイツ人の)恋人は、
特派員として上海に行くことになっています。
で、一緒に行きたいジノスは、
気まぐれで変わり者の「天才」料理人をスカウトするのですが……
ちょっと期待した上海の場面はないのですが、
いい感じのドタバタで、
飽きることなく楽しめました。
監督は、あるインタヴューでこう語っています。
「わたしの映画は、シンプルで、
誰にでも近づきやすいと思います。(……)
それでも、批評家には受けても、
わたしの父のような労働者階級の人たちには、
わたしの気持ちは届かないのです。
そういう人たちにわたしの想いを伝えるために、
あまりシニカルにならず、
できるだけシンプルでクラシカルな作り方で撮っています」
なるほど、そうなんですね。
映画からも、こうした感じは伝わってきます。
1つだけ。
民族的に言うなら、
ギリシャ系ドイツ人であるジノスは、
ヨーロッパ系ドイツ人女性の恋人にフラレタ後、
今度は、トルコ系ドイツ人女性と付き合い始めます。
そして監督自身も、トルコ系ドイツ人なわけです。
(ただこのあたりに、
あまり大きな意味を与えないほうがいいとは思いますが。)