2018年6月28日木曜日

『おじいちゃんの里帰り』

このところ、
トルコ系ドイツ人であるファティ・アキンの作品を、
何本か見てみたわけですが、
彼と同じトルコ系ドイツ人で、
生まれ年も同じ1973年である女性監督、
ヤセミン・サムデレリの大ヒット映画、

『おじいちゃんの里帰り』(2014)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=dSM6cu_JH_g

ヒット作品だけあって、
なかなかおもしろいコメディーでした。
監督のインタヴューもありました。

http://www.c-cross.net/articles/movie/yasemin-interview1402.html

ファティ・アキン作品が、
いわば、今を生きるトルコ系ドイツ人を描いているとすれば、
サムデレリのこの映画は、
過去との繋がりにおいて捉えられた彼らの姿が描かれていると、
一応は言えるのでしょう。
で……
たしかにおもしろい映画なのですが、
アイデンティティーについてのこの映画のメッセージは、
わたしには、やや違和感がありました。
過去からの到達点としての「わたし」という面は、
もちろん否定はできませんが、
もっと、未来を選択する感覚が、
つまり、「ある」というより「なる」という感覚が、
少なくともわたしには、親しいものだからです。

でもまあ、ファティ・アキン作品の補助線としては、
とても役に立つ映画だと思いました。
その内、大学院のゼミでも見ることにします。