2020年5月9日土曜日

『誰よりも狙われた男』

今日は午後に、
Zoom 会議に参加しました。
会議とはいえ、
そして画面越しとはいえ、
大学の同僚たちの顔を見、声を聞くのは久しぶりで、
嬉しかったです。
ちょっと、
オンライン授業というものに、
まだ気持ちが付いて行かない先生もいたんですが、
お気持ち、もちろんわかります。

で、その後少し仕事して、
それから映画を見ていいことにしました。
で、見たのが、

『誰よりも狙われた男』(2014)

です。
フィリップ・シーモア・ホフマンの遺作です。

https://www.youtube.com/watch?v=BsOSZQq2ybo

ハンブルグ。
ここに、ベイルートでしくじった過去のある秘密公安員、バッハマンと、
彼の部下、
そしてかれの情報源たちがいます。
その網の中に、
一人の若者が現れることで、
物語が動き始めます。
ポイントは、
このロシアからハンブルグにやってきた若者が、
ドイツやアメリカの権力側から見ればテロリストであり、
その実、拷問を受けてきた亡命者である、
ということ。
そしてこの若者は、
悪徳ロシア軍人の父と、
彼にレイプされ、妊娠し、
出産時に亡くなったチェチェン人の母親を持っており、
このハンブルグの銀行には、
父親が残した、
莫大なお金が眠っているのです。
そして彼と、彼を助けようとする人権派の女性弁護士は、
すぐに公安の監視下に入ってしまうのですが、
「泳がされる」ことになります。
公安の狙いは、彼らが接触するだろう、大物なのです……

スパイもの、と言っていいのだと思いますが、
とても静かな映画です。
感情を押し殺した、というか。
だから、全体にビターで、大人の雰囲気。
その分緊迫感はあり、
わたしは好きでした。

ホフマンが演じるのは、バッハマン。
よかったです。
彼の秘書である落ち着いた女性も、
若い弁護士も、よかった。
またバッハマンの部下には、
『グッバイ・レーニン』で主演した、
ダニエル・ブリュールもいるし、
銀行家としてウィレム・デフォーもいて、
芸達者が揃っています。

映画内で、
アメリカの女性捜査員が言ったこのセリフ、

Old habits die hard.

習慣てなかなか変わらないものね。

そこそこ忙しくても、
映画は見ちゃいますね。