「物理学校裏」(北原白秋)
「狂者の詩」(高村光太郎)
「九段坂」(与謝野晶子)
これらに加えて、
斎藤茂吉と吉井勇の短歌を取り上げます。
場所的には、
神楽坂
お茶の水
九段
柳橋
などです。
暁星やアンスティテュ、
クレープのル・ブルターニュ、
柳橋の小松屋などにも触れる予定です。
なかでもメインは神楽坂。
わたしも特によく知っているわけではないんですが、
知り合いのデザイナーがアトリエを
(友たちと共同で)借りていたり、
仲良しだった編集者と何度となく行ったそば屋などがあります。
そのそば屋とは、蕎楽亭。
この店は以前、市ヶ谷の近くにあって、
その頃から行ってました。
で、神楽坂に移転したわけですが、
とても印象深いのは、
ある年の暮れに行った時のこと。
編集者と飲んでいると、
きれいな着物を着た女性たちが4,5人入ってきたのですが、
彼女らはどうやら、
近所の芸者さんたちで、
年末の御挨拶に来たようでした。
その時、店内がパ~~ッと明るくなったのは、
言うまでもないですね。
料亭などには縁のない衆生にとっては、
その時の光景が、「神楽坂」のイメージの基底になっています。
で、
この蕎楽亭のあるのは、
「見番横丁」の近くです。
でまた、芸者小道もあり、
それをうねうね辿っていくと、
白秋が明治の終わりに住んでいた家があった場所に出ます。
ここには旧居跡、という掲示があるんですが、
その場所はまさに、物理学校(=理科大)裏、なのです。
白秋の詩の「官能性」も、
それなりに面白いと思うのですが、
わたしとしては、
この詩が着目した土地の(文化的)多層性のほうに、
気が行ってしまうのでした。