そして予習すればするほど、パリという街の、
深さ、というか、
記憶の厚さ、というか、
多層性、というか、
そういうものを感じます。
ただそれは、『東京詩』を準備していた頃、
東京に対して感じたことでもあります。
江戸から「東京」になり、それが育っていく過程だったわけです。
パリの予習、と言いましたが、
たとえば19世紀以前の文学者の家などはパスしています。
(まあたまには、マダム・ポンパドゥールの家だったところが
ユダヤ人街になっていたりすると、やや面白い感じはしますけど。)
ユダヤ人街は、規模の大小はあれ、3つ4つにはとどまらないようです。
たとえば、ブルジュア地区として知られる16区にもシナゴーグはあるようだし。
数日前、ユダヤと言って思い出す2つの作品を挙げましたが、
もう1つありました。それは『原色パリ図鑑』です。
(原題は、La vérité si je mens !)
これは、メトロのSentier 近くを舞台とする、ややB級の香りのする映画ですが、
パリのユダヤ人のことを考えるにはいい映画です。
http://www.youtube.com/watch?v=a9lWDPyW82I
主役のRichard Anconina は、実生活ではユダヤなのに、
映画の中では、ユダヤのふりをする異教徒の役です。
Alain Delon の息子のAnthonyや、Richard Bohringer も出ています。
(『イブラヒムおじさん~』で、とても陰鬱なユダヤの父親役を演じたGilbert Melki が、
こちらでは、陽気で金持ちなユダヤ人として登場しているのも、ちょっと面白い。)
アンコニナを初めて見たのは、もう随分前(1983)、
『チャオ、パンタン』という作品でした。
これは典型的なフィルム・ノワールで、濡れた石畳が美しいんです;
http://www.youtube.com/watch?v=l4NbsXJNLNc
これを見た時は、彼がユダヤ人かどうかなんて、
考えもしませんでしたが。
さて、今週も暑いのでしょう。
(わたしは毎日枝豆を食べてます。)
乗り切りましょう!