2011年1月28日金曜日
LE CHANT DES MARIEÉS
昨日は『リトル・エルサレム』を見たわけですが、
今日はその勢いに乗って(?)、同じ監督の次作を見てみました。
それが、
LE CHANT DES MARIEÉS (『花嫁たちの歌』)
です。
『リトル・エルサレム』の主人公一家はチュニジア出身でしたが、
今回は舞台はまさにチュニジア。そして時は1942年。
主人公は16歳になる2人の少女。ミリアムはユダヤ人、ヌールはムスリムです。
同じ建物の2階と1階に住んでいる2人は、親友です。
まずはトレーラーを;
http://www.youtube.com/watch?v=HaVLm2b1OoU&feature=related
1871年、フランスはアルジェリアを支配下に入れ、
1881年、今度はチュニジアに侵攻し、
1883年、チュニジアの抵抗を武力で抑え込んだフランスは、
チュニジアを保護国とします。
そしてこの映画の時間的舞台である1942年時点で、
チュニジアはナチス・ドイツの占領下にありました。
アラブ系住民の中には、
「ドイツ軍がフランスを追っ払ってくれたら!」
なんて声もあがります。
そしてもうこの時にはもう、アメリカ軍による爆撃も始まっています。
ヌールには好き合った婚約者がいます。
でもムスリムの彼は失業中で、職を得るまで結婚できません。
どうしても仕事が見つからない彼が、最後に選んでしまう仕事、
それは、通訳という名の密告者……
またミリアムと2人で暮らす母親は、ユダヤ人であるがゆえに失業し、
なんとかミリアムを金持ちに嫁がせようとします。(生きるためです。)
選ばれたのは、裕福な医者ですが、彼もやはりユダヤ人。
やがてナチの手が、彼を列車に乗せてしまいます。
そして2人の少女のことを言うなら……
ミリアムは学校へ行き、外出もしていたのですが、
ヌールは学校へも行けず、ヴェールを被り、外出もままなりません。
これはユダヤ人とムスリムという関係の中で生まれることではないのですが、
16歳のヌールにはそれはわかりません。
どうしてあなたばっかり、と時にミリアムを責めたりもします。
でもねえ、2人はやっぱり親友で、心の奥ではお互いのことを心配しています。
特に印象的なのは、ヌールが、ミリアムに習ったことで字が読めるようになり、
たどたどしくコーランを読む場面です。
ヌールは、コーランの中の以下の一節を父親に教えられます、
「神を信じるなら、ユダヤ教徒もまた救われるだろう」
ヌールはこれを、ミリアムに聞かせてあげたい、と思うのです……
ところで、ミリアムの母親役を演じるのは、
監督でもあるKarin Albou 自身です。
アルジェリア人の父を持ち、チュニジアに住んだこともあるという彼女は、
今はテル・アヴィヴとパリを行き来するユダヤ人です。
(ユダヤ教徒ではない、とのことです。)
チュニジアは、今も混乱が続いているようです。
フランスをはじめ「沈黙」していたEUは、態度を豹変させています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110128-00000008-mai-int
それでもまあ、豹変しないよりはマシなんでしょうねえ。