2011年1月10日月曜日
W と G
ウィキリークスが話題になったのは、年末のことでした。
あの時は、ああこんな時代かあ、などという、
きわめて浅はかな感想しか持ちませんでしたが……
各出版社が発行しているPR誌は、
たいてい100円程度で、CPは抜群のものが多いようです。
わたしが欠かさず読むのは、朝日新聞社の「一冊の本」です。
で、いつも真っ先に読むのは、ご存知金井美恵子さんの「目白雑録」。
そしてこの1月号では、能町さんの書評も面白かったですが、
ちょっと驚いたのが、もうずいぶん長く続く連続対談、
「ラスプーチンかく語りき」です。
その中で、佐藤優さんは、
ウィキリークス(W)はアナーキスムだ、と言うのです。
以下、少し彼の見方を要約すると;
「大衆のための初の情報機関」であるWは、
「権力の横暴」と戦う目的で出発した。
そして今回、Wは大量の情報を公表したわけだが、
それらの情報は、特定の国の利益を意図してはいなかった。
ということは、目指されているのは、
特定の国家ではなく、国家という制度そのものの溶解なのだ。
これはまさに、アナーキスムそのものだ。
しかし今後は、当然、Wにはあらゆるニセ情報が寄せられるだろう。
国家が、Wを利用することもあるだろう。
(すでにパキスタンは、Wの名を借り、ニセ情報を発表した。)
結局Wは、国家を溶解させることはできないだろう。
ではグーグルはどうか。
Gを使えば、Wの情報を入手できるわけだし、
またGの目指すのは、世界中のあらゆる欲望を蓄積することであり、
とすればGもまた、アナーキスムだと言わざるを得ない。しかし、
国家を超えるためには、国家だけを超えればいいのか?
柄谷氏の言うように、国家と資本と民族が分かちがたく結びついているなら……
――というわけです。ちょっと目から鱗でした。
アサンジュ氏は裁判に進むようですが、
彼が「殉教者」となることで、Wの、システムとしての実態は、
より見えにくくなった面もあると言います。
こんな時代に、生きているんですねえ。