チャン・イーモウ&コン・リー、とくれば、
わたしは、『秋菊の物語』を思い出しますが、
このコンビによる新作、
『妻への家路』(2015)
を見てみました。
http://cominghome.gaga.ne.jp/
映画の始まりは、1976年頃。
ぎりぎり、まだ文化大革命が終わっていない、
その年の前半なのでしょう。
そして中盤は、1979年。
つまり、文革も終わり、
かつての反右派闘争のとき逮捕された人たちが、
(生きていれば)
次々に解放されていく時代です。
主人公のルーも、そんな一人。
劇中で彼は「教授」と呼ばれていて、
フランス語もできることになっているので、
1957年頃に中国でそういう立場にあったとなると、
これは相当なインテリ層ということになるのでしょう。
(1949年の中国建国当時、
識字率は20%程度だったようです。)
でも、20年間彼の帰りを待っていた妻は、
ルーを見分けることができません。
心因性の、記憶喪失に陥っていたのです。
(その直接の引き金は、
物語の中で明かされます。)
ラヴ・ストーリーです。
でも背後には、もちろん、
中国の現代史があります。
それは、具体的に細かく説明されはしませんが。
(そしてもう少し、説明が欲しい気もしますが。)
建国、百家争鳴、反右派闘争、大躍進、文革……
これをざっと説明して、
明日、今年最初の「ワールド映画ゼミ」で、
この映画を見ることにします。