2017年1月3日火曜日

Mustang

気になっていたトルコ映画、

Mustang(2015)

を見てみました。
(日本題は『素足の季節』。

http://www.bitters.co.jp/hadashi/

この、デヴィッド・ハミルトンを彷彿とさせるポスター、
そしてこの邦題。
そんな、鈍感で「甘美」な物語じゃありません。
mustang(野生馬)の話なんですから。

ちなみに、フランス語版DVDのジャケットはこれ;


彼女らの目。
そこには少なくとも、
日本のオフィシャル・サイトのような、
眠たげな「甘美」さはありません。
はっきり Mustang と書かれているし。

イスタンブールから1000キロ離れた、小さな村。
両親を亡くし、寡婦である祖母と暮らす五人姉妹。
この、若く生気にあふれた少女たちそれぞれの運命を描いています。

「運命」、という言い方をすると、
やや受身的な印象があります。
そしてそう言うしかないケースもあるのです。
でも、自分で「運命」を切り開こうとするケースもあります。
いずれの場合も、わたしたち観客は、
少女たちを応援したくなります。

舞台となったトルコの田舎には、
旧い慣習が色濃く残っています。
この隔絶された世界で、
少女が新しい世界を作り出すのはほとんど不可能でしょう。
そんなとき「希望」として立ち現れるのは、
イスタンブールなのです。
この街は、これまでもさまざまな象徴として描出されてきましたが、
この映画におけるイスタンブールは、
まさに「都会」です。
東京が、パリが、そうであったような。
そうであり続けているような、都会。

旧いもの、は、もちろん、トルコにだけにあるわけではありません。
少女たちの未来が、
可能性にあふれたものであることを願わずにいられません。
いい映画でした。