強烈な映画と出会いました。
Divines (2016)
です。
https://www.youtube.com/watch?v=0VKNHB7WBHA
この映画、カンヌ映画祭でもかなり話題になり、
早く見たいとずっと思っていたのですが、
やっとDVD が発売になり、見ることができました。
(映画の話をよくするフランス人の先生とも、
見た? まだ? という会話が何度かありました。
彼女は先週見たそうです。)
パリ郊外のル=ブラン=メニル。
その、ロマ人キャンプで暮らすアラブ系の少女ドゥニアと、
彼女の親友、黒人でムスリマのマイムナ。
この二人の少女の前で、
(そして彼女らを取り巻くワカモノたち、
さらにはドゥニアの母親を含む大人たちの前でも)
未来は、暗く、固く閉ざされています。
ドゥニアたちにとって、ごくわずかな、
もうそこに賭けるしかない出口は、
麻薬の密売でした。
だからこそ彼女らは、
その地区を取り仕切る女性売人レベッカに近づき、
進んで彼女の手下になります。
そして……(とここまでで1/3 くらい。)
強く烈しい、と書いて「強烈」なわけですが、
この映画はまさにそれ。
まず、主人公であるドゥニアの強さ。(そして怖れ。)
そして登場人物たちの生き方の烈しさ。
そして、その描き方の烈しさ。
なんだか、ネタバレに注意すると、
どんどんあいまいな言い方になってゆきますが……。
そして、音楽の使い方も独特でした。
DVD を再生し始めると、まずメニュー画面になるわけですが、
その時流れてきたのが、
モーツァルトのレクイエムの、ラクリモーサ(涙の日)。
(この日本語タイトルは、larme(涙) との繋がりで、覚えやすいです。)
いわゆる「郊外映画」を見るとき、
クラシック音楽が流れるとは思っていないので、
ここでまず驚かされました。
そして劇中では、
ヒップホップももちろんかかるのですが、
モツレク同様目立った曲、
それはヴィヴァルディのニシ・ドミヌスでした。
この歌曲が、映像との強いコントラストを作り出しながら、
他にはない空気を醸成していました。
YouTube を探したら、なんと、
プレイ・セットがすでに上げられていました。
https://www.youtube.com/watch?v=zOjkdMJ9miI&list=RDzOjkdMJ9miI
監督は女性です。
http://www.lemonde.fr/festival/video/2016/08/31/houda-benyamina-je-suis-une-guerriere_4990425_4415198.html
女性戦士、ですね。
そして主演は監督の妹。
二人は、モロッコ系の家庭に育ったようです。
日本で公開されるでしょうか。
ぜひして欲しいです。