『長江哀歌』
を見てみました。
漢字なので、
ついこれがオリジナル・タイトルなのかと思ってしまいますが、
そうではありませんでした。
原題は、『三峡好人』。
三峡ダムで知られる地域、
特に、完全に水没する町、奉節を舞台にしています。
山西省の違法な炭鉱で働いている労働者、サンミンは、
16年間会っていない妻と娘に会いに、
奉節にやってきます。
彼は妻を、当時の3000元で「買った」のでした。
奉節は「女が多く、売られる女も多い」のです。
ただし彼は、妻にやさしく接しました。
それでもなぜか、
子供を産んだ後、
妻は故郷・奉節へと帰ってしまったのです。
しかしサンミンが来てみると、
かつての妻の実家は、
すでに水没していました。
ここから、彼の本当の妻探しが始まります。
そしてもう一人、
やはり山西省で看護師をしていた女性、シェン・ホン(チャオ・タオ)もいます。
彼女は、
もう2年間、
時折かかってくる夫からの電話を待って暮らしていたのですが、
夫に話さなければならないことができたのです。
夫は、どうやら、
水没する家に暮らす人たちを、
違法に追い出す仕事を仕切っているようなのですが……
この2つのストーリーは、
いくつかの章によって構成されています。それは、
煙草、酒、茶、飴、
などと題されていて、
つまりそこでは、
庶民の生活が焦点化されていることが宣言されているようです。
静かな、堂々として映画でした。
ただ、住民100万人以上を移住させたこの三峡ダムの建設と、
その周辺でもがくように生きる人々の暮らしの関係、
あるいは、
そのことと、
サンミンやシェン・ホンの「旅」との関係、
さらには、
山西省から、奉節を経て上海へ向かうというシェン・ホンの移動の意味など、
今はまだうまく言うことができません。
もう少し、
考えてみる必要がありそうです。
もちろん、いい映画ではありました。