2018年9月10日月曜日

Patients

以前、ラッパーの Grand Corps Malade(GCM) について、
ほんのちょっとだけ触れましたが、
彼のアルバムは何枚か買って、聞きました。
わたしが好きだったのは、たとえばこの曲。


で、
このサン=ドニ出身のラッパーは、
『患者』という自伝的小説も書いていて、
それを(自由に)映画化したのが、同タイトルの、

Patients (2017)

です。


GCMは、ハンディがあり、
しかも196cmの長身ゆえ、
この名前にしたそうです。
で、バスケットボールの、
アマチュアとしてはかなりの選手だった彼は、
ある夏のコロック(子供の林間学校的なもの)で
アニマトゥール(引率者兼盛り上げ係的なもの)をしていたとき、
水が十分入っていないプールに飛び込んで、首をやられ、
当緒はまったく動けなかったのですが、
懸命のリハビリの結果、
上のヴィデオで見られる通り、
松葉杖で歩けるところまで来たそうです。

映画は、GCMらしき主人公が、
事故後の手術を終えたところから始まります。
そして映画内の時間の95%が、
病院かリハビリセンターの内部です。

病院で、主人公Benは友たちができます。
みんな車いすでの生活です。
陽気で、4歳の時から車いすのファリド。アラブ系です。
リハビリの効果がなく、「希望」を抱けないトゥーサン。アフリカ系です。
自殺未遂を起こすスティーヴ。白人です。
本人は交通事故と言っていましたが、
実は失恋の末の、クルマでの自殺で障害を負った、
アラブ系で美人のサミア……。
それ以外にも、
記憶が10分しか続かないサミール、
街のワルで、拳銃で撃たれたエディーもいます。
(みなハンディキャッパーですが、
その内実はさまざまです。

一番印象に残ったのは、
Benたちがある夜、
センターの周りに広がる森に「冒険」に行く場面。
暗い森の中で、彼らは話すのです。
障碍者に合うように作られた椅子も、
フォークも、
ベッドもある。
なのに、障碍者に合うように作られた「希望」がないのはなぜなのか、と。

挿入されたラップもなかなかよくて、
作られる価値のある映画だと思いました。

*サミアを演じた Naila Harzoune  は、
これらの映画にも出ていたのですが、
今回が一番印象的でした。

http://tomo-524.blogspot.com/2017/09/taularde.html

この映画の「囚人・2」でした。
それから、

http://tomo-524.blogspot.com/2016/07/made-in-france.html

これは日本版『メイド・イン・フランス』が出ています。