Demi-sœurs(2018) (『異母姉妹』)
を見てみました。
https://www.youtube.com/watch?v=QDoH4Rcy1uc
かなりおもしろかったです!
主人公は3人の女性たち。
この、まったく背景が違う3人は、
実は同じ父親の娘たち。
でも、この父親は子供たちが生まれる前に姿を消し、
彼女らは誰も実の父親の顔を知りません。
でも20年以上たったある日ある日、
彼が死んだという知らせとともに、
パリ7区にある豪壮なアパルトマンが、
彼女らに遺贈されたという連絡を受けます。
で、
3人の異母姉妹たちは、
初めて顔を合わせ、
結局、3人でそのアパルトマンに住むことになるのです。
3人の女性たちは、こんな感じ。
サルマ(サブリナ・ウアザニ)は26歳。
パリ郊外ラ・クルヌーヴの中学校で、
歴史の先生をしています。
そのクラスは、アフリカ系も多いですが、
半数以上はアラブ系。
サルマ自身も(ウアザニが演じているわけですから当然)アラブ系です。
彼女はまだ男性経験がなく、
実家で母、祖母、妹たちと暮らしています。
(やさしく厳しかった養父は、2年前に他界しています。)
ローレンは28歳。
ファッション業界にいて、
フリーのスタイリストのような仕事をしていますが、
とても派手ではあるものの、
絵にかいたような浮き草家業で、
家賃もままなりません。
男関係もまたなかなか派手で、
セクシャル・ライフを楽しんでいます。
ただ、彼女の深い悩みは、
家族がないこと。
父親は(そういうわけで)おらず、
未熟な母はお気楽者で、
子供をほったらかして旅行三昧。
この喪失感が、彼女のトラウマです。
オリヴィアは29歳。
敬虔なユダヤ人で、
母親や養父と暮らしています。
そんな彼女の気がかりは2つ。
養父の経営していて破綻した菓子店を、
自分の力で再生させること。
そして、ステキな(ユダヤ人の)結婚相手を見つけること、です。
同居を始めた3人は、
何かにつけぶつかります。が、
この衝突を「バラエティー風」を越えるものにしているのは、
やはり、3人の中に、
アラブ系とユダヤ人が入っているからなのでしょう。
アパルトマンの中に、
それぞれが使う「ゾーン」を決めよう、
と主張するアリヴィアに対して、
「ここはガザなの?」
とサルマは応じるのです。
でも、おもしろかったのは、
オリヴィアが失恋した時の会話。
ベッドインまでしたのに、
なぜダメだったの?
としつこく聞かれたオリヴィアは、ついに言うのです、
彼がユダヤ人じゃなかったから、と。
「……それがなに?」
あきれかえるローレンに対して、
サルマはオリヴィアの味方をします。
「あんたにはわかんないの。これは大事なことなの」
するとローレンはまたもあきれ顔で、
「あんたたちって、
大事なことには何一つ分かり合えないのに、
こんな馬鹿げたことでは分かり合うわけね」
これはもちろん、
中東情勢を踏まえて言ってるわけですね。
ストーリーの持って行き方はかなり通俗的だし、
舞台となっているパリへの視線も感じられませんが、
この3人のヒロインを魅力的に見せたことで、
この映画は成功していると思います。
テーマは、家族、恋愛、仕事、自立、民族、アイデンティティー、
ということになるのでしょう。
(監督の Saphia Azzeddine は、アラブ系の女性です。)