2022年10月27日木曜日

『レバノン』

今週の大学院ゼミでは、

『レバノン』(2009)

という戦争映画を見ました。
先週、たまたまこの映画に触れたところ、
院生たちが「見てない」というので、
見せることにしました。


この、レバノン内戦を舞台にした映画には、
際だった特徴があります。
それは、映画の99%が、
戦車の、あの狭い空間のなかで起きる、ということです。
そして「外界」はつねに、
砲撃用のスコープを通して見ることになります。

この映画、今見ると、
どうしてもウクライナを想起してしまいます。
新米兵士は、砲撃のレバーを握るものの、
人間に向かって発射することができないのです。
そしてその結果、仲間が撃たれる……
逆に、今後こそと思って、目を閉じて発射すると、
そこには、民間人しかいなかった……

戦車内で、兵士や捕虜が、小便をする場面が何度かあります。
エロ話をする場面も。
でもそれらは、
強く「死」に取り囲まれているので、
その意味合いが、
日常とはまったく違ってきます。

引き締まった、なかなかよくできた映画だと思います。