舞台は、ダルデンヌ監督ではお馴染みのリエージュ。
そこで暮らす少年トリはベナン出身。
そしてトリと大の仲良しのロキタはカメルーン出身で、
彼女には滞在許可証がありません。
で、許可証を持つトリの姉だと偽って申請するのですが、
これは……
でロキタは、アフリカで待つ母親と兄弟たちに送金するため、
麻薬の運び屋をやったり、時には性的な虐待を受けたり。
しかもその後、偽造パスポートと引き換えに命じられた仕事は、
それまでとは違う恐ろしさがあり……
ダルデンヌ監督らしい、と言っていいのか、
ドキュメンタリー的であり、
でも決定的にドキュメンタリーではない映画です。
カメラは対象を「追う」ので、
観客は終始、
その場に立ち会っている緊張感の中で画面と向き合います。
これは「見えない存在」の物語です。
わたしたちにはもちろん、
リエージュに住んでいる「ふつう」の人たちにさえ、
「見えない」物語だと言えます。
まっさきに思い出すのは、『サンバ』です。
あの映画も、
「ふつう」にパリに暮らしているだけでは、
決して会わない人たちを描いていました。
サンバは、「見えない」労働者なのです。
小さめの映画館でしたが、
お客さん、そこそこ入ってました。
まだまだ上映中です!