2012年3月29日木曜日

『二流小説家』


先日、近所の駅前本屋さんでフラフラしていて、たまたま、
最近はだいぶ御無沙汰しているミステリーのコーナーの前を通りました。
ミステリーを多く読んだ時期もあったので、
棚にはまだ見知った名前が。

その中に、「史上初、三冠達成!」と帯に描かれたポケ・ミスがありました。
(三冠=ミス読み、このミス、文春、オール1位。)
去年の早い時期から、相当に評判のよかった『二流小説家』です。
何の気なしに手に取ると、主人公の名前がハリー・ブロックだと……

ああ、これは参りました。
ミステリー・ファンなら、この名前からおそらく、
マイクル・コナリーの生んだハリウッド署の「ハリー」・ボッシュ、
そして言わずと知れた大御所、
マット・スカダーでおなじみローレンス・「ブロック」を思い出すでしょう。
そしてこの2人は、わたしにとっても大好きな3人のミステリー作家の内の2人なんです。
しかも三冠、しかも(ぱらぱらめくると)読みやすそう。
というわけで、ずいぶん久しぶりにミステリーを読んでみました。

まあこの本は、なにしろ「三冠」ですから、
今さらわたしなどがとやかく言いこともないと思いますが、
それしにてもこの小説、ものすごくうまい。
アマゾンの紹介文は、以下の通り;

ハリーは冴えない中年作家。
シリーズ物のミステリ、SF、ヴァンパイア小説の執筆で何とか食いつないできたが、
ガールフレンドには愛想を尽かされ、
家庭教師をしている女子高生からも小馬鹿にされる始末。
だがそんなハリーに大逆転のチャンスが。
かつてニューヨークを震撼させた連続殺人鬼より
告白本の執筆を依頼されたのだ。
ベストセラー作家になり周囲を見返すために、
殺人鬼が服役中の刑務所に面会に向かうのだが……。

すごく知的で、構成も巧みすぎるほど巧みで、
読者を引っ張ってゆくテクニックがすさまじく、
誠実なためらいや、小心な冒険もある。
そして特筆すべきは、ミステリー小説への愛があることです。

ただし!
ある特定の章は、相当にグロテスク。
過度にエロチックではないけれど、
生理的にグロテスクが苦手な方には、どうかな?

英語は見ていないのですが、
翻訳の日本語はテンポがよく軽快。
二段組み450ページなんですが、あっというまに読めました。

2012年3月26日月曜日

「そりゃおまえだろ!」


先日、Tout ce qui brille. をシナリオと見比べた、と書きましたが、
なんだかこの映画に対する思い入れがより強くなった気がします。
もともと好きだったんですけどね。

シナリオの巻末に監督へのインタヴューがあり、
色々興味深い発言があるのですが、
中で、『憎しみ』が大好き、という個所もありました。
やっぱりなあ。

やっぱり、というのは、見かけはまったく違うのに、
実はけっこう共通点があるからです。
「パリ郊外」、「友情」、「ユダヤ」、「アラブ」、そして「若さ」。
で、ネットで適当に調べていると、
こんなことを書いている研究者がいました;

... Tout ce qui brille recycle clairement le verbe kassovitzien.
Lila taxe Ely de « meuf en carton ! »,
comme en écho au « juif en carton » de Saïd à son copain Vinz dans La Haine.
Mais au-delà du simple clin d’œil,
l’écriture des dialogues recherche une même vivacité de langage.
Ainsi les filles recourent au running gag verbal
qui consiste à ajouter « c’est toi » au dernier mot prononcé par son interlocuteur,
un tic langagier caractéristique de l’humour du deuxième film de Kassovitz :

La Haine – Dans la cité

Vinz : T’as vu la vache ?
Saïd : C’est toi la vache !

Tout ce qui brille – Sur un pont parisien

Ely : Tu sais même pas qui c’est Fanny Ardant !
Lila : C’est toi Fanny Ardant !

なるほど。
相手の言葉に対して、「そりゃおまえだろ!」(C'est toi, ~.)と切り返す、
その感じが、『憎しみ』風、カソヴィッツ風だ、というわけです。
それはつまり、「郊外風」といってもいいのかもしれません。

それにしてもこの2 作、まじめに比較研究したら、
何か書けるかも!?

2012年3月25日日曜日

Mali: coup d'Etat militaire

気になるマリでのクーデター。
画像がありました。

http://www.47news.jp/movie/international_politics_economy/post_2768/

そして驚きの早さで wiki が。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%BF%E3%83%BC_(2012%E5%B9%B4)

気になります。

増刷中


プチ連絡です。
『ハートにビビッとフランス語』が、今アマゾン等で品切れ中です。が、
大急ぎで増刷していて、4月の頭には出来上がるそうです。
もしもお探しの場合は、あとちょっとだけお待ちいただければ幸いです。

ちなみにこの書名を付けてくださったNHK出版の編集長は、
「フランス語テキスト」の編集長であるばかりでなく、
アラビア語等合計4つの言語のテキストの編集長でもあります。
忙しそう~!

2012年3月23日金曜日

「1番心配なのは4 号機」

「フクシマの嘘」。ドイツZDF制作。
この惨状。
しかも日本のマスコミではなく……

http://www.dailymotion.com/video/xpisys_yyyzdf-yyyyyyy_news

新企画でGO !


昨日は久しぶりに都心まで出かけ、
新しい本の企画の打ち合わせをしてきました。
企画は2つ。
1 つはフランス語関連のもので、秋の刊行を目指しています。
(なぜこんなに早いのかというと、
気心の知れたあの人と共著だからです。
しかもコンセプトや骨組は決定済み。)
もう1つは、まだ刊行時期の話をするところまでいっていないのですが、
ぜひとも実現したい企画です。

今回伺った編集部は、広くてウォームな雰囲気。
実際には、1人1人がとてもたくさんの仕事を抱えているはずで、
決してのんびりなどしていられないのでしょうけど。

帰り道は、週間文春を読みながら。
今週号は、おもしろいコラムが少なくとも3つあり、お得でした。
タックス・ヘイブンと花粉症とアメリカの男女差別。
こうして並べてみると、雑誌らしいですね。

2012年3月21日水曜日

千夜千冊

まああんまり悪口は言いたくないんですけど、
東電という組織には、あきれるばかりです。
あの組織が、今まで原発を管理してきたのかと思うと……

それにしても、原発をやめるということは、
どういうことなんでしょうか?
(理念を現実にするとは?)
それがエネルギー問題であるのは当たり前ですが、
そればかりではなく、
日本という国の安全保障や、外交や、
その他いわば何にでも、関連があることです。
まず思いつくのは、日米安保のこと。
アメリカの核の傘に入った、よりひ弱な存在となる道を選ぶのか、
それとも、それ以外に道を示せるのか。
中国の脅威はすでに在るわけだし。
ただ間違いないことは、
「チェルノブイリ」が広がってゆくのを、
指をくわえて見ているわけにはいかない、ということです。

反原発にせよ反・反原発にせよ、
考えることはたくさんあります。
その参考になるのが、これです;

http://1000ya.isis.ne.jp/file_path/table_list.html

1432夜以降、これに関する重要な本が並びます。
(それ以前にも関連本はあります。)

この問題は、昨日今日始まったものではありません。
多くのマスコミの取り上げ方には、
そうした歴史観が足りないようにも感じます。
大震災以前と以降で、状況が激変しているとも言えるのでしょうが、
実は変わっていない部分も多々あるわけです。
(それに気づいたことが、変わった点だということでしょうか。)
重い課題ですね。

2012年3月20日火曜日

明日、最終回


さて明日、半年続いた「ナミの恋する東京日記」も、
ついに最終回を迎えます。
(ただ、本放送の時は、木曜日の放送があったので、
さよならの御挨拶はしないまま終わることになるのかも。
この幻のほんとの最終回では、
ケンタやナオコも登場してくれて、とても記憶に残る放送だったのですが。)

そういえば数日前、
「ナミ恋」が終わってしまうので悲しい、というつぶやきがあり、
嬉しく思いました、
やっぱり聞いてくださる人がいるからこそ、
楽しい番組にしようという気持ちになれます。
聞いてくださったみなさん、
ありがとうございました!

*画像は最終収録日、le 11, juillet, 2010 の様子です。
  この日に収録したのでした。

「フランス体験講座」受付中

明治大学が一般向けに開講している「リバティー・アカデミー」。
この春、わたしも少しだけお手伝いさせていただくことになってます。
これです。

https://academy.meiji.jp/course/detail/530/

全6回で、フランスのいくつかの顔を知ろう、という企画です。
第1回のわたしの担当は、パリ13区の中華街です。
まあ90分なので、どれだけお話しできるか心もとないですが、
なんとか楽しくやりたいところです。
でも6回続けて出れば、きっとフランス理解に新しさが加わるでしょう。
よろしければ!

NHKテキスト4月号


今日は3月20日、春分の日。
もうすぐ4月ですね。つまりまた、NHKでは新講座が始まります。

「テレビでフランス語」は、川竹英克先生とナビゲーターには村治佳織さん。
ラジオ「まいにちフランス語」初級編は、
藤田裕二先生とシルヴィ・ジレ先生の名コンビ復活。新作です。
(なんと、「アンコール・まいにちフランス語」もやっぱり、
藤田先生コンビの番組を再放送。
本放送と同じ講師というのは、初めての試みでしょうか?
人気なんですねえ!)
そして応用編は、澤田先生の番組の再放送です。

そしてテキストですが、これもすでに発売になりました。
「テレビでフランス語」には、
「パリは燃えているか?」の第13回を書かせてもらいました。
今月からは、13区の中華街を歩きます。

春ですね!

2012年3月19日月曜日

シナリオと


ちょうど1年くらい前、『きらきらしてる』という映画のことを書きました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2011/02/blog-post_21.html

そしてやや時間のできた今日、
買っておいたシナリオを片手に(というのは比喩ですが)、
もう1度この作品を見てみました。
(もう1度とは言っても、合計では5回目くらい?)

シナリオと見比べると、時に、
こちらが漫然と見ていた個所が、
実は相当意図的に作りこまれていた事実が分かることがあります。
それはたとえば2秒くらだったりするので、
10回くらいは見ないと気づかないかも。
(シナリオなしで見ていると、
何回見ても新しい発見があるのはこのため?)

そしてシナリオを比べて、
細かなセリフ回しに変化が付いているのは、
まあ当然なのでしょう。
俳優さん達の言い易さを考慮したり、スピーチレベルを微調整したりして、
その場で変えることもあるでしょう。
なんとなく、みんなで集まって変更している様子が目に浮かびます。
もちろん勝手な想像ですが。

またそれとは別に、
編集段階で切られたのでは、と思われる個所もあります。
時には、シークエンスの半分くらいが落ちていることも。
今はあまり長いと、配給会社から嫌がられるそうなので、
そうした実際上の必要もあるのかもしれません。
でもたしかに、ここは要らないかも、と思うところが切られている気もします。

ただシナリオって、手に入りにくいですね。
今回はたまたまフツーに(アマゾン・フランスで)フツーに売られていますが、
こんなことはめったにありません。
(そういう意味でも、雑誌「ふらんす」巻末に毎月付いているシナリオ抄録は、
なかなか貴重なものです。)

こういうの、授業でもできると楽しいんだけどなあ……

2012年3月18日日曜日

フライブルク・バロック・オーケストラ


バッハの中でも、「管弦楽組曲」は、
すでに何枚か愛聴版があります。
ちょっと古いですが、Max Pommer 版とか。

でも最近買ったコレは、驚異的でした。
フライブルク・バロック・オーケストラです。

http://www.amazon.co.jp/J-S-%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F-Ouverturen-Orchestral-Freiburger-Barockorchester/dp/B005IQXTVS/ref=sr_1_3?ie=UTF8&qid=1332048723&sr=8-3

清新で繊細、艶があって深みもある。
古楽器ならではの音で、
CD をかけ始めて10秒くらいで引きこまれました。
素晴らしいと思います。

*ほんのちょっとですが、試聴できます。
http://www.amazon.fr/Suite-No-Major-BWV-1068/dp/B005QZR5YI/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1332049869&sr=8-2

2012年3月17日土曜日

左右社のつぶやき


左右社の社長、小柳さんのつぶやきです。
引用します;

清岡智比古さんの『東京詩』に吉本隆明さんのオビ文をいただきました。
玄関待ちをしていた見ず知らずの編集者を家にあげ
少年のような目で話を聞いていただいたことが忘れられません。
ときどきその時間を思い出すことが、
自分への励みとなっています。
吉本さんのご冥福をお祈りします。

2012年3月16日金曜日

吉本さん逝く


吉本隆明さんが、亡くなりました。

これから、色んな雑誌などで、吉本さんの追悼号が企画されるでしょう。
個人的には、『東京詩』の帯を書いて頂いたこと、
吉本さんの『父の像』の、文庫版解説を書かせて頂いたこと、
この2つが宝物です。
吉本さんの仕事全体からすれば、
それはまったく0.0001%程度のことであるのは、重々承知していますが。

実はつい最近も、 『吉本隆明 50度の講演 』(CD)の中の、
「現在について」を聞き直したばかりでした。
そこでは、「重層的な非決定」の重要さが語られています。
聞きながら、この考え方に影響を受けているなあ、と思っていたのでした。
つまり、
「現在」というものを捉えようとしたら、
どこか1つの地点にとどまって全体を眺めるだけでは不十分で、
さまざまな「層」に身を置き、
「重層的」に捉えるしかない……
自分にそれができているとはまったく言えませんが、
そのようにありたいとは思っていた気がします。

それ以外にも、『言語にとって美とはないか』をはじめ、
影響を受けた本は少なくありません。
吉本さんの、御冥福をお祈りいたします。

               ◆

異数の世界へおりてゆく      吉本隆明


異数の世界へおりてゆく かれは名残り
おしげである
のこされた世界の少女と
ささいな生活の秘密をわかちあわなかったこと
なお欲望のひとかけらが
ゆたかなパンの香りや 他人の
へりくだった敬礼
にかわるときの快感をしらなかったことに
けれど
その世界と世界との袂れは
簡単だった くらい魂が焼けただれた
首都の瓦礫のうえで支配者にむかって
いやいやをし
ぼろぼろな戦災少年が
すばやくかれの財布をかすめとって逃げた
そのときかれの世界もかすめとられたのである
無関係にたてられたビルディングと
ビルディングのあいだ
をあみめのようにわたる風も たのしげな
群衆 そのなかのあかるい少女
も かれの
こころを掻き鳴らすことはできない
生きた肉体 ふりそそぐような愛撫
もかれの魂を決定することができない
生きる理由をなくしたとき
生き 死にちかく
死ぬ理由をもとめてえられない
かれのこころは
いちはやく異数の世界へおりていったが
かれの肉体は 十年
派手な群衆のなかを歩いたのである

秘事にかこまれて胸を ながれる
のは なしとげられないかもしれない夢
飢えてうらうちのない情事
消されてゆく愛
かれは紙のうえに書かれるものを恥じてのち
未来へ出で立つ

2012年3月14日水曜日

このマンガを


朝日出版社は、わたしが初めて教科書を作らせてもらった、
いわば恩ある出版社ですが、
そこから、とてもいいマンガが出版されています。

『チェルノブイリ、家族の帰る場所』

です。
表4の帯には、こうあります;

チェルノブイリに住んだのは、きみの「家族」でもあったのだ

まさに。
そしてわたしたちの「家族」がいるのは、もちろん、
チェルノブイリばかりではありません。

絵は、木版画的、といっていいのでしょうか?

そして、カット割りというか、“カメラ”割りというか、
行間というか、
コマとコマとの“間”に、時間やさまざまな感情が満ちている気がします。


それにしても、
「数日で戻れるからといわれつつ、
自分たちの家を去らなくてはならなかった」この家族の物語は、
今も続いているのですね。

2012年3月11日日曜日

3月11日



                   ◆

小さなKに

      
あとどれくらい 地上(ここ)いておまえを
小さなおまえを抱いていられるのか
あと何度 朝陽のなか なかば眠たげなおまえのオハヨウを
新鮮な炎のように
聞くことができるのか
あと何度 おまえの靴が窮屈になるたび
手をつなぎ
一緒に買いに行くことができるのか

おまえが五十歳になるとき
わたしは地上にはいない いや それどころか
おまえが二十歳になる日さえ あまりに遠い
おまえはその日 生まれたての 
あの血まみれの赤ん坊とは 似ていないだろうけれど

おまえが死ぬ日
それがもし 老いのもたらす結果であるなら
わたしは喜ぶだろう 
おまえの命が 残らず燃え尽きたことを
そしてそれがもし
不慮の事故や災害がもたらしたものであったとしても
やはりわたしは 
いつかは
喜ばねばならないだろう
おまえが地上を駆け抜けたことを

そしてわたしはいとおしむだろう
おまえの瞳に映るはずだったすべてを
おまえが呼吸するはずだったすべてを

手をつないで歩いたときの
小さな小さな手の柔らかさを
消えない炎として
いつまでもいとおしむように

2012年3月10日土曜日

ユリイカ・3月号


ユリイカ・3月号、特集は「辞書の世界」です。
我らが林先生(今、中国に出張中。インタヴュー予定ぎっしり!)も、
「赤いリュックと中国語辞典」を寄稿されています。
語学好きのみなさんは、間違いなく楽しめます!

で、この3月号の表4(=裏表紙) には、杉山利恵子先生が登場!
このコーナーは、1年ほど前(?)から、
明治大学の先生たちが、順に紹介されるコーナーになっているそうです。
(第1回が、神聖ローマ帝国の専門家で、
隣の隣の研究室にいらっしゃる、菊池良生先生でした。)
どうぞ本屋でご覧になってみてください。

2012年3月9日金曜日

フランス語教育実情調査報告書


フランス語教育学会、という組織があります。
その学会が、最近、ある調査結果を発表しました。
今の学生や先生たちの「生活と意見」が聞きとれます。
1番上の項目の、「こちらから」をクリックします。

http://sjdf.org/

25ページに、先生たちが今の教科書についてどう思っているか、
というアンケートがあります。
この中に、
「やさしく幼稚過ぎる」(15.4%)
「内容が簡略的過ぎる」(23.4%)
「説明の仕方が不十分」(16.0%)
とあります。

これらを選んだ先生たちは、おそらく、
教科書をお作りになった経験
(つまり、作るという視点で、教科書のことをマジで考えた経験)
がないんじゃないかな? と感じます。
幼稚でなく、簡略的でなく、十分な説明をすることが、
いい教科書の条件ではないと、わたしは思っています。
教科書は、あくまで授業で使うもの。
授業は「ライブ」ですから、教科書が完結していてはいけないのです。
いい素材で、土台をしっかりさせ、
あとは授業で組み上げてください、仕上げてください、
と、現場の先生に差しだされているものが、そこに阿吽の呼吸があればなおさら、
いい教科書なのだと思います。

もうだいぶ前のことですが、
仲良しの先輩同僚が、
「史上最低の教科書を作るぞ!」と言って、
あるテキストを作りました。
「史上最低」とは、彼らしい照れで、
つまり今までにない思い切った簡略化を行ったテキスト、のことです。
(彼自身は、とてもフランス語ができる人で、バルトの授業にも出てたそうです。)

この教科書、でもほんとに「史上最低」でした!
だから、よく売れました。
つまり、阿吽の呼吸を理解してくれる先生たちもたくさんいる、
ということなんでしょう。

2012年3月8日木曜日

タハール・ベン=ジェルーン、池澤夏樹

3月17日、誰が考えても混みそうです。

http://institut.jp/ja/evenements/11441

ほんとに、2度とない組み合わせですねえ。

国際女性デー


今日は、懸案事項のうち、おそらく2つは潜り抜けた感があり、
少しだけほっとしています。
(その内1つの結果は多分◎。もう1つは△なんですが、
その△はいわば「織り込み済み」なので、それはそれでいいんです。)

さて今日3月8日は、「国際女性デー」なんですね。
それを知ったのは、この記事から;

http://www.msf.or.jp/

ナイジェリアから、コートジボワールから、パキスタンから、
「国際女性デー」の報告があります。

以前『暴力とアイデンティティー』という本のことに触れた、
アマルティア・セン。
彼が10年前ほどに出した新書、『貧困の克服』という本があるのですが、
それによると……
 
今もソマリアが苦しんでいる大飢饉。でも、
飢饉では、人口の5%以上が死ぬことはほとんどないそうです。
逆に言うと、1部の人に飢餓が集中している。
そして今や飢饉は、民主国家では起こらない。
なぜなら民主主義的選挙では、
候補者が多様な意見を取り込もうとし、その結果、
不利益が1部に集中しないから、というのです。
わたしは納得しました。

(だから、
「中国のような大国を食べさせるには、民主主義より独裁」
という主張は成り立たないのだと言います。
そもそも、独裁国家のほうがいいなんて、誰一人証明していない、と。)

そしてさらに言うなら……

たとえばある国でGNPが5%下がる、という事態が起こったとして、
そのマイナス分を、全国民で背負うなら、
(ごく単純化すれば)
全員の給料がマイナス5%、ということになります。
下がるのは痛いにしても、耐えられる範囲でしょう。
でもこのマイナス分が、もし1部の人たちに集中したらどうなるのか。
もし10%の人たちに集中したら、彼らの給料は1/2に。
もし5%の人たちに集中したら、彼らの給料はゼロに!
なるわけです。

ここで必要になるのは、いわゆる安全ネットです。
あらかじめ(←ここが肝心)、そういうシステムを作っておけば、
落ちかかっても、また復帰できる。
以前の韓国での金融危機の時、
韓国にはまだ安全ネットがなくて、1部の人だけが、
どこまでも落ちて行ってしまった。
彼らにしわ寄せがいった……
たしかに、儲かってるときはみんな仲良しだけど、
下り坂では「ババ抜き」っていうんじゃねえ。

(東北には、長いスパンでしわよせがいってたことが、
はっきり分かったわけですが。)

安全ネットを作る前提になるもの、
それは民主主義でしょう。でも、
その場合の民主主義には、
教育とか、情報の公開とか、その辺まで含まれるのでしょうね。
(もちろん、その先にも必要なものがあるでしょうけど。)

そういえば、アメリカの選挙が進んでますが、
共和党の有力候補の1人は、
「わたしは政教分離には反対だ」と言い切っています。
なんとね!

2012年3月6日火曜日

親戚


今夜、多分30年振りくらいで、
親戚の女性から電話をもらいました。
彼女は音楽をやっていて、長くドイツにいたのですが、
なぜかフランス語を勉強する気になって、ラジオを聞いてみたら……
あれ? これってあの小さかった……?
で、そろそろ放送も終わりに近づいたので、ちょっと連絡してみたの、
というわけです。

そういえばレナさんは、よく親戚から連絡をもらった話をしてましたが、
わたしはほぼ初めてです。
レナさんの場合は、フランス人の親戚もいるわけですから、
ほとんど日本人であるわたしの周りとは違いますね。

そういえば、1人だけ、
ニュー・カレドニアの男性と結婚した従姉妹がいます。
国籍は、フランスになるわけですね。
彼女の子供2人は、とっても可愛いです。
ただ小学生のお姉ちゃんはものすごく早口で、
聞き取りにくいのが困ります!

いつか遊びに行きたいと思いつつ、
もう10年以上経っちゃいました。
いついけるかな~

2012年3月5日月曜日

ポトラック vol. 8


今日は、なんだか寒い啓蟄でしたね。
サスペンデッドな感じの仕事がいくつかあって、
なんとなく落ち着かない日々です。
(でもまあたいていそうなんですけど。)

そんな中、
わたしも1度だけ参加させてもらったことのある「言葉のポトラック」、
vol.8 のお知らせが届きました。
コピペしますね。

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「詩と散文のあいだ」


4月8日(日)12時開場/13時開演    3月8日予約開始 

会場:サラヴァ東京
企画:堀江敏幸・大竹昭子
出演:保坂和志/角田光代/スズキコージ/間村俊一/Ayuo/長
    島有里枝/堀江敏幸/大竹昭子

http://kotobanopotoluck.blogspot.com/

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これは、すぐに予約が埋まりそうですね。

そしてこの日には、
ポトラックvol. 1 ~ vol. 8 を集めたアンソロジーも出来上がるそうです。

2012年3月4日日曜日

春は


一昨日、今年度の打ち上げをして、
ちょっとお休みモードに入るのかと思いきや、
同僚の1人は昨日、夏の集中講座の打ち合わせに明大前に出かけ、
わたし(ともう1人)も今日、緊急業務で大学に行きました。
(ほぼ間違いなく、他の同僚たちも、
それぞれに業務を遂行しているはずです。)
しかも今回は、自宅で仕上げるべき宿題つきです。

ただこの宿題には、論文読みも含まれていて、
それは勉強にもなるし、イヤではありません。
特にそれが、若くて優秀な人のものである今回のような場合は。

それにしても、もう3月。
あと1ヶ月で新学期!
春は目の前ですねえ✿

(画像は昔のLa Défense です。)

2012年3月3日土曜日

IZU PHOTO MUSIUM


IZU PHOTO MUSIUM での、

「荒木経惟写真集展 アラーキー」・オープニング対談

に、我らが倉石さんが登場します。

http://www.izuphoto-museum.jp/event/74899260.html

伊豆方面のみなさん、おもしろそうですよ!

2012年3月2日金曜日

ノミホー付き


昨日の午前から午後にかけては、
年に1度の外国語教員の全体会議があり、
馴染みのメンバーと久々に顔を合わせました。
レナさんも元気でしたよ。
(スキーに行ってきた、と言ってました。)

そして夕刻からは、
照合文化教室のメンバー全員(1人欠席)で、
大学近くのイタリア料理店に行き、
今年度の打ち上げと、倉石さん、波戸岡さんの壮行会と、
オーストリアから帰国した菊池先生の帰朝お祝いをみ~んな兼ねた会を、
執り行いました。
かつて総文のメンバーだった黒田龍之助さんも緊急参戦です!

ノミホー付きなので、料理はあまり期待してなかったのですが、
意外に(というのも失礼ですが)おいしかったです。
アボカドのタルタル風に粒コショウを混ぜたのを、ディップみたいに使ったり、
サラダにパクチーを入れてみたり。
ま、イタリア? ではありますが、悪くなかったです。

こんな風に、総合文化教室の全員が揃って飲みに行くなんて、
この4年で…… なんと初めて!
いつもの打ち上げは、学内の会議室でジミ~にやるからです。
たまにはこんなのもいいです。
高級ではないワインも、こうして飲むとおいしいです。
(こういうカジュアルな店って、冷えた赤を出してくることがあるんですが、
今回は室温で、それもよかったです。)

それにしても、倉石さんと波戸岡さん、
在外研究を経たあと、どれほど成長して帰ってくるのか、
恐ろしいほどです。
元気で、楽しく行ってらして欲しいです!

訂正!


Mmm... 昨日の記事に訂正があります。
「ひかがみ」は、『フラ語ボキャブラ』でも採用した単語でした!
でそれは、jerret です。
レナさんにも、Batayam にも「やったでしょ!」と言われました、
トシャアトリタクネエナア!

そしてchute ですが、これはまあ「主観的な」言葉なので、
どこを指すかは個人差があるそうですが、
レナさんは「おしりかな。」ということでした。そして、

フランス人は、おしりを横から見るんですよ。
だから、おしりの上半分が、「落下」して見えるんですね。

とのこと。
横から見る、というのが、面白いですね。

2012年2月29日水曜日

「落下」


今日の東京は雪!
小さな予定があったんですが、それをやめて、1日PCの前にいることに。
でも部屋にいても、寒い!

で、今日のYahoo France のtop page、そのまたトップ・ニュースの見出しは、

Une chute de reins à tomber par terre

でした。でそれについてる写真が、上に挙げてあるものです。
これは訳しにくいですねえ。

まず1番のキモは、chute です。
これはパラシュートのシュート。
つまり「落下」です。
(ラジオ講座のごく最初の頃、パラシュートの話題が出ましたね?
「パラ」が「防ぐ」で、「シュート」が「落下」。)

ただこの場合の「落下」、何を指すのかかと言えば、
それは腰(というか、背中の終わりからヒップの上半分にかけてというか)の斜面のこと。
たしかに、「落下」してますね。
でさっきのフランス語は、
この「落下(しているヒップ上部)」があまりに急斜面なので、
地面まで落ちちゃうぜ、くらいなところでしょうか。
つまり chute が、体の部位を指しつつ、
同時に「落下」というもとの意味をよみがえらせてる、ってことなんでしょう。
そして日本語には、chute に当たる部分は、名づけられていないんですね。
(まあ「くびれ」は近いのかもしれませんが、
それは体の「部位」というより、ある種の運動ですよね?)

体の部位の表現は、日本語もフランス語も色々ありますね。
そういえば中学校の頃、
どこまでが foot で、leg はここね、なんて、授業でやった記憶もあります。
意味論への、最初の1歩、という感じ?

たとえば「足」でも、
「ふくらはぎ」も「くるぶし」も「膝小僧」もありますが、
「ひかがみ」というのもありますね。
たしか金子光晴に、この「ひかがみ」を見つめる詩があったはずです。
もとは「引き屈み」。
たしかに、あそこが要になって屈むわけですね。

でも考えてみたら、「ひかがみ」ってフランス語でなんて言うんでしょう?
そもそも名づけられているんでしょうか?
知りません!
(明日レナさんに会うので、覚えてたら訊いてきます!)

2012年2月27日月曜日

やっぱり


なんだか今日の東京は、まだ寒さが戻ったようでした。
そんな中、
図書館からリクエストした本が届いたと言うお知らせがあり、
午後から大学へ。
(学食のほかに、「麺処」という店があり、
今、「春の大サービス期間!」で、
通常250円の「きつねそばor うどん」が、なんと200円!)

そして通勤の行き帰りでは、
たくさんのたくさんのクルマを目にするわけですが、
クルマのデザインって、
たとえば服のデザインに比べると、なんというか、こう、
ヴァリエーションが少ないものだなあと感じてしまいます。
(まあ、服と比べるのはムリかもしれませんけど。)

わたしが独断的に分類するなら;

1) オジサン美学を体現する“カッコイイイ”タイプ
2) 都市的な、中性的な、バランス感覚のいいタイプ
3) スポーティーで、ちょっとオブラートに包んだ“イケイケ”感のあるタイプ
4) 家族向け
5) 軽自動車

日本車の、やや値の張るものは、ほとんどみ~んな 1) じゃないでしょうか。
VWや、peugeot や、1部の日本車が 2) 。
3) は、いわゆるSUV。パジェロ・ミニからBMW・Xシリーズまで。
4) はミニ・バン。今は1番人気とか。
5) の軽もとても多い。

ただ「走り」について言うなら、おおむね 1) のCP が高いのでしょう。
かつて「間違いだらけの~」では、
メルセデスを15年乗れ、とか、ゴルフは抜群、とか書かれていた記憶がありますが、
いずれも安くはないんですね。

クルマは値が張るので、
好きなものが買えるわけではないし、
そもそもクルマを持つのかどうかも考えどころではあるでしょう。が、
デザイン、という目で眺めると、
Mmm... ミョーにヴァリエ―ションが少ない気がするわけです。
(と言いつつ、なにかピント外れのことを言っている気も……)

で、値段に関係なく、どのクルマのデザインが好きかと訊かれれば、
わたしなら、やっぱりポルシェ911 ですかねえ。(←結局ベタ)
(子供時代に、911 的なデザインを、「ステキなもの」として刷りこまれた、
という気もしています。)

そういえば最近、ダニエル・コーエンの、
フランスでベスト・セラーになった『迷走する資本主義』の翻訳を読んだのですが、


その中で紹介されているエピソードで、

ブラジルにあるVWの購買部の部長は、車の主要部分を外注させ、
残る仕事は車の前面にVWの貼り付けるだけで喜んでいる……

というのがありました。
これは「ニュー・エコノミー」の例として語られているのでした。

2012年2月24日金曜日

朗読です


この前の日曜日の、『混成世界のポルトラーノ』イベント、
締めくくりの朗読部分が、YouTube にアップされました。

http://www.youtube.com/watch?v=Jnw95SNNElg

http://www.youtube.com/watch?v=ZHGYO5Z45mg

よろしければ!
(画像は 2 / 2 に登場の倉石さんです。)

2012年2月23日木曜日

「カリブ・世界論」


去年も一昨年も、
パリで一緒に楽しい探索をした中村さんが、
ネットで連載を開始しています。(上の写真も。)

http://mangrove-manglier.blogspot.com/

これはいい連載ですね!
今後が楽しみです。

(人文書院と言うと、わたしなどは、
どうしても「ボードレール全集」を思い出してしまいます。
あの臙脂のクロス装の4巻本。
メチャメチャよく読みました。)

         ◆

ところで中村さんが、2月10日付けで触れている、ゲアンの話題。

http://www.lemonde.fr/election-presidentielle-2012/article/2012/02/05/claude-gueant-declenche-une-nouvelle-polemique_1639076_1471069.html#xtor=EPR-32280229-[NL_Titresdujour]-20120205-[titres]

「文化はどれも等しく価値があるわけではない」
とか、
「人間性を守らない文化は劣った文化だ」
とか。

彼があてこすってるのが移民文化だとするなら、
つまり「右翼ウケ」狙いということなんでしょうか。
「フランス」の大臣ともなると、エライんですねえ。(と皮肉も言いたくなります。)

食感


ラジオの「ナミ・恋」も終わりに近づいたせいか、
何通か大学のほうにお便りをいただいています。
(Merci bien !)
リエさんは「ナミ・パリ」からということなので、
もう長いですねえ。
『ポルトラーノ』も買っていただいたんですね。
どうぞ堪能して下さいませ!

また以前「発寒」からお葉書を頂いた方から、
北海道ならではのお菓子を頂きました。(画像)
初めての食感で、おもしろかったです。
こちらも、ありがとうございました!

室蘭で生まれ育ったという彼女は、小学校で、
アイヌの歴史について、詳しく習ったそうです。
わたしの(先輩)同僚の中に、沖縄出身の先生がいらっしゃるのですが、
彼はアイヌの研究もしています。
ご自身では、冗談交じりに、
「端っこから端っこへなんだよ!」なんておっしゃってますが。
先日は、アイヌの方を招いて、レクチャーも開催されていました。

一応フランス語圏のことなんか調べてますが、
ほんとはもっと身近なことだって、知らないことだらけなんですよねえ。

……というわけで、
嬉しいお便り、ありがとうございました!

2012年2月22日水曜日

Nicolas Anelka, un premier but !


チェルシーの、と言うべきか、
元フランス代表の、と言うべきか、
あのニコラ・アネルカが、
上海申花という中国リーグのチームに移籍したのが去年暮れ。
そして早くも、「最初のゴール」のニュースがありました。

http://www.youtube.com/watch?v=oeQN69GcPIs

開始わずか40秒。でも、
スタジアムの雰囲気は、プレミアとはまったく違いますねえ……

3 月号発売中


今日2月22日は、猫の日、らしいですね。
ニャン× 3、だそうです。(ダジャレかい!)
もうすぐ3月なんですね。

で、NHKのフランス語テキスト、3月号が発売になっています。
「まいにちフランス語」は、いよいよ最終月。
条件法や接続法もお目見えします。
レナさんが作った練習問題も、残らずこなしてくださいね!

また「テレビでフランス語」のほうの「パリは燃えているか?」。
こちらは第12回。1年間、お付き合い頂いた方には、
un grand merci を送らせて頂きます。


今月のテーマ地区は、シャトー・ドー。
そして今月はテーマ曲があって、それはこれです;

http://www.youtube.com/watch?v=ZcBEedFhbVQ

このヴィデオ全体が、シャトー・ドーに捧ぐ、という感じ。
詳しくは本誌で!

で、ここでお知らせがあります。
この「パリ燃え」、あと半年間、連載延長させていただくことになりました。
(NHK出版に感謝……)
ここまでは、ユダヤ人地区から初めて、
アラブ系、アフリカ系、それぞれの濃い地区を巡ったわけですが、
パリと言えば、やっぱりこれを忘れることはできません、
そうです、13区の中華街です。
というわけで、4月からは、この13区に突入する予定です。
どうぞご期待下さい!

2012年2月20日月曜日

イベント終了


昨日のイベント、
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
お話しはできませんでしたが、
以前にもいらしたいただいた方が、何人か来てくださったのもわかりました。
Merci !
(近く、一部がYouTube にアップされるかもしれません。)

来てくださったみなさんはよく分かって頂けたと思いますが、
今回一緒に出演した4人が、
わたしにとっては最高の、同僚たちです。
彼らがいなかったら、最近わたしが発表していることの大半は、
存在しなかったに違いありません。

このブログそのものも、管さんの勧めだったし、
(それがなければ100%やってません!)
管さんの思想には色々影響を受けているし、
また倉石さんには、知らなかった世界をいくつも覗かせてもらったし、
林さんには「旅人として生きる」ことの潔さをしみじみ感じるし、
波戸岡さんはわたしよりずっと若いけれど、
実質論文指導してもらってるありさまだし……
こう考えてくると、
ほんとにまあ、自分1人じゃなにもできなかった気がしてきました!
(ま、多分ほんとにそう。)
ほんとにラッキーでした。

『混成世界のポルトラーノ』、
もしも熟読してくだされば、彼らの世界のエッセンスが、
伝わるものと信じています。

というわけで、おそらくは最初で最後の5人イベント、
左右社のみなさん、会場となったビブリオテックのみなさん、
そして繰り返しますが、日曜の午後に来てくださったみなさん、
ありがとうございました!

2012年2月18日土曜日

じゃ明日!


さてさて、『混成世界のポルトラーノ』刊行記念イベント、
いよいよ明日になりました。

ついさっき左右社さんが呟いていたのですが、その内容はと言うと;

********************************************

明日19日午後4時から、
旅をめぐる管啓次郎・林ひふみ・清岡智比古・波戸岡景太・倉石信乃によるイベント

「私たちが海の向こうで学んできたこと」

ぜひお越しください。
予約無でもOKです。

会場はビブリオテック/最寄駅は原宿駅、副都心線北参道駅
http://bit.ly/y99yWi

********************************************

だそうです。

A demain !

2012年2月17日金曜日

『ドーミエ諷刺画の世界』


ドーミエ、という名前、聞き覚えがあるでしょうか?
1808年生まれですから、ボードレールより13歳年上です。
版画家、と言っていいのでしょう。
作品はこんな感じ;

http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=honor%C3%A9%20daumier&lr=lang_ja&rlz=1I7ADFA_jaJP461&um=1&ie=UTF-8&tbm=isch&source=og&sa=N&tab=wi&ei=PFY-T46NOvGjiAe_n7njBA&biw=1680&bih=875&sei=P1Y-T8nhLIuImQXmwIi6Bw

で、なぜボードレールを引き合いに出すかと言えば、
わたしにとっては、大学のボードレールの授業の時に初めて知ったからです。
とても褒めてるんですね、ドーミエを。

そして今までに、ちょっとは本も買ったし、
日本でもフランスでも色々見た気がしますが、
今度この本を読んでみて、
ああ、もっと早く読んでおくんだった!
と思いました。それは、これです;

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%82%A8%E8%AB%B7%E5%88%BA%E7%94%BB%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%96%9C%E5%AE%89-%E6%9C%97/dp/4003356810/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1329484166&sr=8-1

品切れ中。「1円より」??

(もちろんわたしも、古本は買います。
同僚たちも、買ってます。
実際上絶版なら、古本で買うしかないからです。
でもご存知の通り、古本がどんなに売れても、どんなに高くても、
著者には出版社にも、1銭も入りません。
この本のようなすぐれた本の場合、なぜ復刊しないのか不思議です。)

そうなんです、いい本なんです。
上でサンプル画像のリンクを挙げましたが、
いかがでしたか、おもしろそうだけど、
イマイチ意味が取りづらいですよね?
それがこの本では、
なんとなく眺めているだけではほぼゼッタイ分からないような、
絵についての解説がしてあるんです。

なんだか「1円」(+送料)なので、
勧めていいものかどうかちょっと迷いますが、
本としては、明らかにその1000倍以上の価値があると思います。

で、みなさん、イベントは明後日です!!

2012年2月16日木曜日

途中で


文藝春秋という雑誌がありますが、
今日風呂でそれを読んでいて、
ちょっと「ああ」と思うセリフがありました。

「内向の世代」という文学グループ(?)がかつてありましたが、
その中の1人、今年80歳になる黒井千次のセリフです。

「(……)途中で終わることを恐れてはいません。
何かを完成させようという心がけは大事ですが、
人間はいつ死ぬか自分ではわからない。
生きている途中で死ぬのだから、
途中で終わることは人間にとって自然なことなんです」

だから、無理はしないのだと。
なるほどねえ……

ちなみにわたしは、「内向の世代」よりも、
むしろ「第3の新人」に親近感を抱いたほうです。
とはいえ黒井千次はけっこう読みました。
1番印象に残っているのは、短篇、「袋の男」です。
夜、若い女性がゴミ捨て場にゴミを捨てる。
上が縛ってあり、それが、うさぎの耳のように見える。
男は、それをそっと部屋に持ち帰って……
(文庫『石の話』に入っています。)

2012年2月13日月曜日

Grammy


Grammy の季節です。

その会場での Fergie のファッションについて、
「お勧めできない」というコメントが。

La chanteuse des Black Eyed Peas, la sublime Fergie, a intégré un peu trop vite la tendance néon du Printemps 2012. Quelques touches suffisent, un total look est, comme vous pouvez le constater, vivement déconseillé.

文中にある tendance néon というのは、
どうもこの春流行りそうだと言われる、
「蛍光色を使ったファッション」のことのようです。
ただ、にもかかわらず「お勧めできない」理由は、
使いすぎているから、なんでしょう。
どうもこの「蛍光の傾向」は、
アクセント的に使うのがよい、とされているようです。

2012年2月12日日曜日

現代フランス映画の肖像2


またこの季節が巡ってきましたね。

http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2012-2-3/kaisetsu.html

上映作品のあらすじを読むだけでも、
ちょっとおもしろいです。
中には、YouTubeに予告編があるものもありました。
しかも! 
これはおもしろそうだと思ったCHOUCHOU、
これは全編YouTube に!

http://www.youtube.com/watch?v=uJ5xtyb9BMs

フィルム・センターとは違って、字幕はないですけど。

ここで上映されるものは、ほぼ間違いなく、
日本公開されません。見るなら今です!

2012年2月11日土曜日

来年度前期・放送予定

NHKの語学番組、
来年度・前期のラインナップ、発表になってますね。

http://sp.nhk-book.co.jp/text/pdf/gogaku2012.pdf

「テレビでフランス語」と「まいにちフランス語・初級編」は、新作です。
どんな内容になるのか、楽しみですね!

2012年2月10日金曜日

「キルトの家」


今日は、録画してあった山田太一のドラマ、
「キルトの家」(前編・後編)を見ました。

腑分けしたり、分析したりすることも、多分できなくはないけれど、
そういうことじゃなく、なんだか全体として、感動しました。
山田太一は1934年生まれですから、77歳なんですね。
わたしももう(とっくに!)ワカモノではなくて、
老境から発せられる、それでも瑞々しい言葉にハッとしたりホロリとしたり。

年齢と、そして3.11の経験を経て、
今回のセリフは、どこか、何かが違っていました。
いつもの山田節でありながら、
なにかが違っています。それが、
見ているものの胸の深くに木魂するのです。

いつか御隠居さんになったら、
山田太一の作品のDVD を揃えて、
ゆっくり全部見てみたいです。
それまでに、どんどんDVD化が進むといいなあ。

ちなみに、冒頭の場面は、(またしても)池上駅でした!

2012年2月8日水曜日

寄り道


ユニクロの服、今や「1枚も持ってない」という人は、
ほとんどいないんじゃないでしょうか?
わたしもまた、たった今着ているフリースもユニクロだし、
運転用のごつい手袋もまたそうです。
値段に対する品質でいえば、突出していると言えるのでしょう。

そのユニクロが、大学1年生に対してさえ、
実質的な「内々定」を出す制度を作るとか。
以前は、英語公用語、みたいなことも言ってましたね。
でその結果優秀な学生が減ったとしても、
そもそもそんな学生要らない、と社長は言ってました。

ところで大学には、大学固有の存在意義があって、
どこか特定の企業に都合のいい学生を作る場所ではありません。

もちろん、ユニクロに就職するのを否定する気なんて全然ありません。
ただ、「あなた」がもし大学1年生で、ユニクロを目指しているなら、
さまざまな角度から、さまざまなレベルで、
たくさん考えてみることが大事じゃないかと思う、ということです。
たとえば「ファッションとは何か?」について、
1度本気で考えてみるとか。
そして色々寄り道した結果、
やっぱりわたしはユニクロ! と言うのなら、
それは素晴らしいと思うのです。

1年生で「内々定」を取ることは、
ちっとも素晴らしいこととは思えません。

雑感


玄葉外務大臣は、ほぼ一貫して、
イランの肩を持つかのような発言を続けています。
つまり、イスラエル寄りではなく、ということですね。

イランとイスラエルの問題は、もちろん簡単じゃありません。
イランはウラン濃縮施設を稼働させ、
核爆弾への道筋をつけているようです。
かつて、イランのアフマディネジャド大統領は、
「イスラエルを地図上から抹殺する」
と発言したことがあります。
これは「核攻撃」のことだと言われても仕方ないでしょう。
だからイスラエルは最近、なんなら先制攻撃したろか! と息巻いています。
もし実行されれば、これは第5次中東戦争(アラブ-イスラエル戦争)です。

アメリカとイスラエルが仲良しなのは言うまでもありませんが、
今アメリカはイスラエルを押しとどめようとしています。
(もちろん有事には、間違いなく支援するでしょうが。)
そして同時にイランに対する制裁をしているわけですが、
そこで日本の外務大臣は、
まあ日本は例外にして、とかなんとか、
制裁自体がゆるく見えてくるようなことを言いだすわけです。
これじゃイランは、あ、そんな感じね、と思うでしょう。
逆にこのままでは、イスラエルままた孤立を深めるばかり。
パレスチナ入植問題も、「性懲りもなく」という感じだし。

なにも「アメリカに従え」なんて気はありませんが、
日本の外務大臣、ないし政府は、この問題について、
ある種の独自外交でもする気なんでしょうか?
(石油が欲しいから?)
なにしろ「国家」公務員ですから、
「国益」こそが彼らの最優先事項なのは分かりますけど。
(義務教育の究極の目的は、「国家」に奉仕する人民の育成ですしね。)

ただ、シリア制裁に対する中国とロシアの拒否権行使に対しては、
玄葉大臣も、「深く遺憾に思う」と発言しています。当然です。
そしてアメリカもまた、中国・ロシアを批判しますが、
アメリカにその資格があるのか?
たしか似たようなこと、やってましたよねえ。

……というわけで、とりとめない雑感ですみません!

2012年2月7日火曜日

ゆるむ


今日の東京は、(予報ほどではなかったけれど)
比較的過ごしやすかったですね。
久しぶりに都心まで行ったのですが、
歩いている人たちの表情も、心なしか緩んでいたような。

明日、東京は晴れの予報ですね。
大学に行く予定です。

2012年2月6日月曜日

『中級をめざす人の フランス語文法』


すでにご存じの方も多いと思いますが、
我らが杉山利恵子先生の新刊、
『中級をめざす人の フランス語文法』
が出ています。

わたしも、フランス語の参考書を作る立場として、
いろんな希望を耳にしますが、その中でも、
長らく言われ続けてなかなか果たされなかったのが、
「初級は楽しかったんだけど、そのあとが……
イマイチ伸びてる感じもなくて」というみなさんへ向けての、
内容のある中級向け参考書でした。
それをついに、杉山先生が作ってくださいました!

これは、とてもいい本です。
「まいにちフランス語」の応用編がベースになっていて、
CD も付いています。
テーマごとに30課あって、これで1800円てことは……
1課=60 円! 
杉山先生(&NHK出版)、がんばりました!

初級をまとめつつ、次のステップを目指したい方、
ほんとにお勧めします!

2012年2月5日日曜日

寒い立春


お騒がせしましたが、
今日(厳密には昨日になりましたが)から、
日常復帰を果たしました。

大学では、入試も本番を迎えます。
受験生のみなさんは、特に風邪やインフルに気をつけて!

さ、また明日から、元気に飛ばすぞ!(オー!)

2012年2月3日金曜日

『混成世界のポルトラーノ』のこと


『混成世界のポルトラーノ』のこと、少し書かせてください。
ちょっと長くなるかも。

左右社のHPには、こんな紹介が;

「テクストと写真で描く、現代世界を旅するための航海図。

北京、南台湾、ボルネオ        林ひふみ

大連、モントリオール、パリ       清岡智比古

ダッハウ、ネヴァダ、タスマニア   波戸岡景太

デリー、大東島、洛山          倉石信乃

ヒロ、ラハイナ、ホノルル         管啓次郎

文化と文化が出合う地を、旅人の視線で歩き、研究者として捉え直す。」

この通りなんですが、もう少し詳しく言うと……

まず最初の林さんの北京、いきなり引きこまれます。
林さんは、中国語圏では有名作家(新井一二三)なんですが、
その理由がはっきり分かる力の漲った文章です。

1つのキーは「ユーラシア」。
この大きな視点へと広がる瞬間ははっとさせられますが、
それは同時に、街中のなんでもない風景に向けられた視線と隣り合うことで、
全体が、こちらの胸の中にぐっと落ちてきます。
この文章は信用できる、と思えるのです。
たとえばこんな場面、

「建物の中は暖房もあまりきいておらず、
客はみな分厚い綿入れのコートを着込み、
人民帽と呼ばれたカーキ色のキャップか、
毛皮の耳当てがついたロシア人のような帽子をかぶり、
背中を丸めてテーブルを囲んでいた。
照明も薄暗く、店内は鍋から立ち上る湯気で白っぽく霞んでいた。」

丸まった「背中」が、湯気の向こうから迫ってきますね。

ただ林さんの文章の困る点は、お腹がすくこと!
どうしてこうも美味そうなものを集めて来られるのか?
彼女は普段からはっきり言っています。

「人間はね、食べたものでできてるの!」

おっしゃる通り。
ただこれが、「美食」に堕落することなく、
まあなんというか、大げさに言えば、
生命の源を目指す旅になっていること。
それが林スタイルです。

そしてもう1つ、これは管さんの文章などにも顕著なのですが、
1つのエッセイの中に、時間の遠近法がすでにしまいこまれているという、
訓練された「大人」にしか実現できない骨格があります。
これは若い人にも、今後持ちえるかもしれない視点として、
ぜひ若いうちに感じておいて欲しいと思います。
(わたしもそうしてればなあ……)

ところで、この本では5 人が、
いわばバラバラな場所のことを書いている、という印象があるかもしれませんが、
そんな単純な話でもないんです。

まず、今の時代、ある場所とちゃんと向き合おうとすれば、
どうしてもさまざまな場所からの波音が聞き分けられてしまう、
という事情があります。
これがこの『混成世界のポルトラーノ』を読んでいただくときの、
醍醐味の1つになっていれば、と思っています。

また、もっと具体的に、15 の場所は、響き合ってもいます。
たとえば、林さんが

「日本女性を母に持つ鄭成功の像が立つ台南駅(1936年竣工)のデザインは、
東京の上野駅(1937年)にそっくりだ。
中国東北地方で日本人が建設した旧満鉄大連駅とも。」

が書くとき、それはわたしの担当部分の、若い女性のセリフ、

「あ、大連駅を過ぎました。」

というなんでもない1文と、呼応しているわけです。
そしてもう少し大きな文脈で言うなら、
「ダッハウ」も、「大東島」も、もちろん関係がありますし、
最初の大東島踏査が行われた1885年、
「ハワイ島」には、944人の日本人が、
「官約移民」第1号として到着しているのです。

そして5 人の中で1番若い波戸岡さんの文章の始まり近く、
こんな印象的な一節が置かれています。

「ダッハウはダッハウではない、と詩人が言う。(……)
それが本当なら、私はその「ダッハウではないダッハウ」の方を旅したかった。」

ナチの強制収容所のある町として知られるダッハウ。
けれどもそこにそれが置かれる以前のその町は、
おそらくありふれた、それでいてちょっとした個性はあるにちがいない、
田舎の町だったのでしょう。
それが置かれさえしなければ、「世界史」に登場することもなかったような。

波戸岡さんは、その2つのダッハウの裂け目に滑り込もう、
そしてその空白じみた時間/空間から、
もう1度21世紀に帰る旅を試みているように見えます。

そして波戸岡さんが素晴らしいところは、
それが極度に個人的な試みを、社会的なものにもして見せることです。
彼は、友人たちの言葉を思い出します。

「そうだね、誰でも一度はあそこに行くべきだと思うよ。
その一言を口にすることは、
ホロコースト以後を生きる私たちの最低限のモラルだ。」

さっき、「空白じみた」と書きましたが、
波戸岡さんのデビュー作は、
『オープンスペース・アメリカ――荒野から始まる環境表象文化論』です。
このタイトルは、わたしのような年代の場合、吉本さんの、
『空虚としての主題』を思い起こさせるところもあります。
ポルトラーノからちょっとそれますが、
ここまできたらちょっと触れておきたいですね。

この「オープンスペース」というのは、
実は分かるようで分からない何物かです。
だって、空き地、なわけですから。
(言語学の定番ネタに、「穴」の定義、というのがあります。
穴には実体がなく、穴以外によってのみ説明できる空虚、なんですね。
それに近い?)
でもたとえばこれは、ごく単純に考えて、
モダン建築の並ぶ町、あるいは、
ほんとにどこにでもあるような新興住宅地、
というようなものだと言っても、そう的外れではないのではないでしょうか。
そこには、家も庭もアスファルトもあるわけですが、
(つまり本当の「空き地」ではないわけですが、)
今その住宅地を眺め渡している「私」にとって、
それは「なにもない空間」なわけです。
そしてもし、このなにもない、荒涼とした場所にこそ、
どうしようもない親しみを、懐かしさを感じるとしたら……

波戸岡さんは来年度から、ドイツで研究される予定です。
どんなオープンスペースを見出し、
そこから何を見ることになるのでしょう?
わたしも1読者として、とても楽しみにしています!

そして、日本の写真論を牽引する倉石さんは、
実はARICA というシアター・カンパニーで、
テキストとコンセプトを担当なさってもいます。
(いいなあ、才能のある人たちは!)
最初に置かれた「デリー」は、
このARICAのインド公演の体裁を取っています。
倉石さんが「デリー」で見せる文章は、ほとんど散文詩のよう。
楔のような、捩じられた鋼索のような、スリップする氷の塊のような文章なんです。

(わたし以外の4 人は、お世辞じゃなくて、みんな文章が上手。
そしてみんなお互いに似てない! 面白いですよ~)

たとえば冒頭の1行はこうです;

濃霧のインディラ・ガンディー国際空港に降り立った時には深夜零時を過ぎていた。

いいですねえ。霧は、気配の化身なのでしょうか?

そしてリハーサルの合間、カフェテリアで一服した倉石さんは、
「ターバンを頭に巻きアーガイル地のセーターの上にツイードの背広を着た
髭の濃い初老の男」に声をかけられます。
彼はどうやらヨガの行者らしいのですが、
なんと彼が話し始めたのは……

そして後半では、ニューデリーからオールドデリーへ。
小型オート三輪から降り立つ「わたし」。

「すると手ぶらのあるいは荷物を担いだ群衆が次々に視野のフレームに
飛び込んでくる。それは止まない。心の中にひとりでにスナップ写真が
いくつもできあがるのだ。」

そして倉石さんは、「群衆」を「むしろぼんやり」眺めることになるのですが、
その結果、

「多段階的な速度が視野のフレームの中に出入りしわだかまる。」

はあ。なるほど……
これを書ける人は、倉石さんしかいないでしょう。

本当は、倉石さん(だけじゃくみんなそうですが)の文章は、
もっともっと内容豊かなんですが、
それはぜひ、本文をお読み頂ければと願っています。

トリは管さんです。
これは日経に連載されていたものです。(改稿あり)
管さんは今や日本を代表する書き手の1人なので、
ここでご紹介するまでもないでしょう。
ただ今回の文章は、モトが新聞だけに、
間口を広く取ってある印象です。
(奥行きはいつも通りの深さです。)

ハワイの神話、アロハ・シャツ、ウクレレ、サーフィン……
こうして並べると定番にさえ見えかねない材料も使いながら、
織られた文章の綾は……

そしてわたしも知らなかったこの歌唱;

http://www.youtube.com/watch?v=nj70xlYGmEI

こんなことまで教えてくれます!!

……というわけで、
微熱の中での「一気書き」なので、
著者のみなさま、的外れ&失礼の節はどうぞお許しを。

そしてここを読んでくださっているみなさん、
騙されたと思って、最初から最後まで、
ぜ~んぶ読んでみてください。
いい本だと、思っていただけると、確信しています。
長々すみませんでした!

どこまで

今朝起きた感じは good で、ヤレヤレと思って食事をし、
(いつも通りグレープフルーツも欠かさず食べ、)
その後、寝ている間の「夢」だった近所のスーパーでの買い物へ。
あれこれまとめ買いしているうち、なんだか寒~~くなってきたので、
まだ早かったけれど、すぐ隣のラーメン屋で昼ご飯(ワンタンメン・麺固め)。

で全部食べて暖かくなって、帰宅。
でも、あれ、また寒くなってきたなあ、座ってられないくらいだるいし……
でまごまごだらだらし、まさかと思いつつ体温を測ると37.5度。
あらら。またですかい!
(もちろん、ハーハー言うほどの状態じゃありませんけど。ワンタンメン食えるし。)

2012年2月2日木曜日

ダラダラ

今朝の熱は37度。
そして午後10時には37度。(悪寒付き)
あれ? 変わってない?
こういう風にダラダラ風邪が長引くあたり、

♪ もう若くないさと、君に言い訳したね

な気分です。
(もしかして意味不明?
モトは、「いちご白書をもう1度」です。)

でも今日は、1日中『混成世界のポルトラーノ』を再読。
風邪なのに、旅して、たらふく食ってきた満ち足り感があります。

2012年2月1日水曜日

pas encore...

熱は一進一退。
そろそろ起きたいところですが。