2011年4月23日土曜日

Little Senegal


この春、日仏学院の「アフリカ特集」で上映予定だった、Little Senegal、
建物が被災したため、中止を余儀なくされました。
でもやっぱり見たい! という(自分の)声に応えて、
今日やっと見ることができました。

セネガルのダカールにあるゴレ島、
この島が「奴隷島」と呼ばれるのは、
そこがかつて奴隷貿易の「積み出し港」だったからです。
主人公のAlloune(アルーン)は、そのゴレ島にある、
「奴隷の館」でガイドを務める老人です。彼はこう自問します、
ここから連れ去られた自分の祖先たち、
彼らの子孫は今、どこで何をしているのだろう……

http://www.youtube.com/watch?v=x7l5Xr-8vXk

「館」には、奴隷たちを船へ「積み込む」ための、小さな戸口があります。


そこに佇んで泣いていた黒人女性に向かって、アルーンは言います;

Your past begins here.

そして「過去」を探す旅が始まるわけです。

彼はアメリカ(サウスカロライナ州)のチャールストンにやってきます。
そしてそこで色々調べ、ある家族の系図を追ううち、
やがてNYにたどり着きます。
NYには、彼の甥がいます。ハーレムの中の、リトル・セネガル地区に。
アルーンはそこに居候し、あの家族の子孫を見つけ出します……

映画の前半、ああこれは(わたしの好きな)ロードムーヴィーなんだ、
と思って見ていました。でも、
いったんNYに着き、子孫を見つけて以降、
映画の様相は変化します。
描かれるのは、たとえば、移民たちの生活の苦しさ、
アフリカ系アメリカ人と、アフリカ系移民の軋轢などです。
アルーンには愛があるます。
でも、現実はそれを受け止める準備ができていません……

この映画の監督は、ラシッド・ブシャール。
彼の作品は、以前ここでも紹介したことがあります;

http://tomo-524.blogspot.com/2010/01/indigenes.html

順番でいえば、Little Senegal のあと、『デイズ……』を撮っています。
才気煥発というタイプではないけれど、
描くべきことを持っている監督だと思います。

最後に蛇足を。
「今週の1曲」でも取り上げたこの曲;

http://www.youtube.com/watch?v=8Kve3cWM5QI

これがゴレ島です。