2011年4月14日木曜日

Satin rouge


わたしが好きな女優の一人に、ヒアム・アッバスがいます。
ここでも、『シリアの花嫁』、『扉をたたく人』、The Lemon Tree などを通して、
何度も名前が登場しています。
で、今回見たのは、2002年の作品、Satin rouge 。
ヒアムが主演です;

監督はチュニジア人女性、Raja Amari 、
1971年生まれの彼女にとって、これが長編デビュー作だったそうです。

今回の舞台はチュニスです。
(やがて「テレビでフランス語」でも、チュニジアが取り上げられます。)
とにかく、予告編を;

http://www.youtube.com/watch?v=B4CJEzmsXOI

まじめで堅物で、口うるさいママでもあったリリア(ヒアム)は、
帰宅の遅い娘を探してキャバレーに乗り込み、
そこで目にした白熱の踊りと解放された雰囲気に、魅了されます。
踊子の一人と仲良くなったこともあり、
やがてその店で踊るようにさえなります;


一方、年頃の娘には恋人がいて、
彼は学生ながら、リリアが通うキャバレーで太鼓を叩いてもいます。
なんと彼は、(恋人の母親とは知らず)リリアに接近してきます。
リリアのほうでは、彼が娘の彼氏だと知りながら、
彼の想いに応えるかに見えます……

チュニジアは、ほぼ完全にイスラム国家です。
となれば、キャバレーのような場所は、
男たちにとってさえ、家族には隠して行くような場所です。
女性にとっては、いわずもがな。
リリアの近所のおかみさん達は、
リリア(や娘)の行動に眉をひそめます。
でもリリアは、たしかに解放されてゆくのです。
それは、リリアの表情を見ていれば分かります。
ヒアムはそれを、いつも通り見事に演じています。

チュニジアの、とりわけ海沿いの家は、白と青で構成されているようです。
とするなら、リリアの部屋がどこか青味がかっているのは当然なのでしょう;


とはいえ、この部屋の雰囲気があるからこそ、
キャバレーの「赤 rouge」は際立ちます。


で、ややしつこく言えば、
青の中に、「赤」はすでに用意されてもいました;


なかなか美しい映画でした。
これなら、日本で公開しても、十分受け入れられると思いました。
(DVD には、フランス語字幕が付いています。
Amazon France で買うと、DVD は高くないです。
今回は15€=約1800円 でした。)