今日もまた、去年暮れに日本公開されたのに見逃していた
WELCOME (『君を想って海をゆく』)
を見てみました。
映画内の言語は、印象で言うなら、
60%が英語、30%フランス語、10%(多分)クルド語、
そして監督と主演はフランス人で、舞台もフランスの港町カレーです。
一応、「フランス映画」に入るのでしょう。
予告編です;
http://www.youtube.com/watch?v=z_bQXkIvonk
カレーに暮らす中年夫婦、
夫シモンは水泳のコーチ、妻マリオンは難民の支援活動をしています。
二人はすでに別居中ですが、シモンはあきらめきれない様子。
そんな「世界」に現れるのが、イラクからのクルド人難民、
17歳のビラルです。彼は3ヶ月かかって、
イラクのモースルから、歩いてここまでやってきました。
カレーから海を渡れば、そこは恋人の待つロンドンです。
でも、国境警備はとても厳重。
トラックに隠れた彼と仲間たちでしたが、果たせず、逮捕されてしまいます。
(このあたり、とても緊迫した描写が続きます。)
そしてビラルは、泳いでドーバー海峡を渡ることを思いつき、
通い始めたプール教室で、シモンと出会うことになるのです……
クルド人は、2500~3000万人、
かつてのユダヤ人に似て、自分たちの「国家」を持っていません。
イラクでは、20%がクルド人なわけですが、そのイラクでも、
トルコでもイランでも、クルド人は苦しんできました。
そしてビラルがやっとたどり着いたフランスでは、
不法移民に手を貸すこと自体、違法行為と見なされているわけです。
スーパーは入店を拒否し、
アパートの住民は、彼らの存在を警察に通報します。
(しかも彼の部屋の玄関マットには、皮肉にも、WELCOMEの文字が。)
主役のVincent Lindon(ヴァンサン・ランドン)は、
コリーヌ・セローの作品で何度か見ましたが、今回が1番いいかも。
中年男のさびしさ、いい加減さ、やさしさ、強さ、よく出ていると思います。
雑な言い方ですが、男受けする男優じゃないでしょうか?
この作品、7月には日本版のDVDが発売されるようです。
社会問題と、卑近な問題をうまく結びつけた、いい作品だと思います。
http://www.femail.com.au/vincent-lindon-audrey-dana-interviews.htm