2015年9月6日日曜日
femmes du Caire
この前の旅行中、
パリからロンドンに移動する際は、
ユーロスターを利用したわけですが、
その往き道、
隣に座ったのは、エジプト人女性でした。
40代半ばほどの、とても感じのいい女性で、
ヨーロッパ旅行の途中だということでした。
御嬢さんは大学3年で、
一緒にカイロで暮らしているけれど、
「今回の旅行はわたし一人で。」
彼女は、タイなどアジアにも、
アメリカにも行ったことがあるそうで、
わたしたちは英語で話したのですが、
エジプトでは、小学校の低学年から、
英語の勉強が始まる、
でもそれだけでは足りないので、
自分は大学で勉強し直した、とも言っていました。
で、今日見た映画は、
femmes du Caire (『カイロの女たち』)
です。
2時間17分という長めのフィルムで、
見ていると、時間の扱いが、
テレビ・ドラマ的だ感じることがありました。
となると当然、長くなりますね。
でも、飽きることなく見られました。
https://www.youtube.com/watch?v=fP6H3Xyw9FM
話しの骨格を作るのは、
カイロのテレビ局に勤めるカップル。
敏腕プロデューサーの夫と、人気キャスターの妻です。
人もうらやむ、という感じのステキなマンションに住み、
食事は、海沿いのしゃれたレストランです。
話しが動き始めるのは、
大きな昇進をもくろんでいる夫が、
その人事に関わる上司から、
「君の奥さんの番組、政治的過ぎないか?」
と言われ、
妻のHebbaに頼んで、
彼女の番組をもっと「三面記事」的なものに変えてもらうあたりから。
そこでHebba は、カイロで暮らす女性たちを取材し、
とりわけ彼女たちの恋愛事情に焦点を当てます。
けれども、その結果あぶりだされてくるのは、
社会に、男たちに虐げられる女性たちの苦しみでした。
(映画では、こうした女性たちの物語が、
再現ドラマ(?)のようにきっちり描かれます。)
そして……
これは結局、まぎれもなく政治的な話題となり、
それゆえ、Hebbaの夫の昇進は取り消しとなり、
夫は妻にひどい暴力を加えます。
そしてエンディング、
青あざのできた顔で画面に登場したHebba は、
「今日はわたしの物語を聞いてください」
と語り始めるのです……
集められたエピソードは、
どれも、男性優位社会が生む汚れた歪みです。
もちろん日本社会も、
完全に男女平等だとはとうてい言えませんが、
エジプトもまた、まだまだのようです。
これが、今日の姿だというのですから。