Fureur (2003)という映画を見ました。
これは……、もっと早く知っていなければならない映画でした。
見落としていたことを反省しています。
https://www.youtube.com/watch?v=sBnUCPWDQ5w
映画のストーリーも、人物造形も、その他もろもろも、
特筆すべきことはないんです。
ただ一点、ヒロイン(ユー・ナン)の背景と、
パリ13区のアジア街という舞台の出会いが、
映画史的には完全に要チェックだと思います。
オランピアッド広場も、オスロ商店街も、ユーロパズィも出てきます。
話しは込み入っていますが、
縦糸は、やはり「恋愛映画」の側面に現れる物語でしょう。
男はラファエル・ラミレス。
スペイン系フランス人で、
死んだ親が残した自動車修理工場を、
弟とともに切り盛りしています。
ただ、経営はかなり苦しい様子。
女はチン。
中国系ですが、生まれはカンボジア。
その後兄と二人で(おそらくは内戦を)タイへと逃れ、
さらに彼女は、一人中国に。
そして5年前から、パリにで暮らしています。
そしてこの二人の恋愛を邪魔するのが、
中国系有力者の息子、トニー・トランです。
彼は、映画の始まりにおいては、
まずはチンのフィアンセであり、
ラファエルのガレージを買い取ろうとする実業家(ワカゾーですが)です。
チンは、トニーなんか嫌いなんですが、
世話になっている親戚夫婦に恩返しするつもりで、
彼らの言いなりになって、結婚するつもりだったのです。
が、ラファエルと出会い、チンは変わります。
「わたしは売り物じゃない!」
と言い残し、親戚夫婦の家を飛び出します。
目覚めたんですね。
そして振られたトニーは、
怒り狂ってラファエルのガレージに放火してしまいます……
このメイン・ストーリーに絡むのが、
ラファエルの弟マニュと、チンの兄トイです。
この二人はそれぞれ、キックボクサーです。
マニュは、経営不振のガレージのため、
トイは、労働許可証を持っていないため、
違法な賭けキックボクシングに選手として参加します。
負けたマニュは、その時の殴られ方があまりにひどく、
命を落とすのです……
この映画、「激情」というタイトルで、
以前、フランス映画祭で上映されたことがあるようです。
13区を舞台にした映画としては、
代表的な1本と言えると思います。
(やっぱり見るのが遅かった! J'ai honte !)