2017年6月18日日曜日

Marseille - de guerre lasse

マルセイユを舞台にした映画、

Marseille - de guerre lasse (2014)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=GnV9SNFXNHE

舞台はマルセイユ、2008年。
そしてこの映画の骨格は、
フィルム・ノワールの定番に沿っていて、
まずは、マルチアーノと、ヴェルニョー(チャッキー・カリョ)という、
二人の親分がいます。
で、ヴェルニョーの息子アレックスは、
4年前、マルチアーノの弟を殺し、
その追ってから逃れるため、
外人部隊に入隊しました。
さらに彼の父親も、
それ以上の追跡を止めることの見返りとして、
経営するすべての店の権利を、
マルチアーノに譲りました。
そして、4年後の今、
戦闘によるPTSDを抱えたアレックスが、
「街」に戻ってきます。
それは、恋人だったKatia(サブリナ・ウアザニ)と再会し、
彼女と一緒に逃避行に出るためでした。
けれど、アレックスが戻ったという知らせは、
あっという間にマルチアーノの耳に入り……
というわけです。

ただしこの映画、これは物語の1つの面で、
もう1つ、これと同じくらい重要な面があります。
それは、家族の秘密にかかわる物語です。
実はヴェルニョーは、
かつてアルジェリアで植民者として生きた、
ピエ・ノワールなのです。
しかも、今の彼のパートナーは、
当時彼の家にいたメイドだったアラブ系のライッサ(ヒアム・アッバス)で、
二人の3人の子供(アレックス、カティア、ラシッド)のうち、
アレックス以外は、ライッサと当時の夫との間の子供なのです。
アルジェリア戦争が終わった時、
ピエ・ノワールはヨーロッパに逃げ、
彼らの家で働いていたアラブ系の人たちは、
対仏協力者として、
アルジェリアを追われたわけです。

というわけで、このフィルム・ノワールと家族の物語の結合が、
この映画を独特なものにしています。が、
やはり見ていて、複雑すぎる、と感じないわけにはいきませんでした。
ちょっと詰め込み過ぎたかもしれません。

ただ、マルセイユを選んだ理由についての、監督のこの言葉、

"Un bon décor, ce n’est pas quelque chose de joli qui passe bien à l’image –
c’est un lieu qui raconte une histoire"

これはまったく同感です。

そして、作品が多少複雑すぎるにしても、
今回の俳優陣は、とてもよかった。
しかも馴染みの人たちが多く出ていて、

ジャリル・レスペール(Le Petit Lieutenant) ←母親はアルジェリア系
チェッキー・カリョ(『ニキータ』)
ヒアム・アッバス(『シリアの花嫁』)      ←アラブ系(イスラエル人)
サブリナ・ウアザニ(Mohamed Dubois )   ←アルジェリア系
ムアメッド・アゼルキ(Cheba Louisa)     ←アラブ系
オリヴィエ・ラブルドン(『君を想って海をゆく』)

こんな感じです。
みんなよかったですが、
特に、サブリナは今回、
堂々としていてよかったです。