2023年5月1日月曜日

『エンパイア・オブ・ライト』

院生が「よかった」と言っていた、
サム・メンデスの新作、


を(Disney+で)見てみました。
田舎の映画館が舞台、と聞いて、
あまり好きじゃない『ニュー・シネマ・パラダイス』を思い出し、
どうかな、と思いつつ見始めたんですが、それは杞憂でした。
とてもよかったです。

舞台は、1980~81年のイギリス。
ドーバーの北に位置する海辺の街、マーゲイトです。
その、まさに海辺に建つ映画館、エンパイア劇場で、
統括マネージャー(というと現代的ですが、要は「主任」という感じ)
として働いているのが、ヒラリー(オリヴィア・コールマン)です。
40代後半にさしかかった彼女は、
映画館の支配人に性的に搾取されており、
精神的にも不安定です。
そんなとき、一人のアフリカ系のワカモノが、
アルバイトとして入ってきます。
彼は、大学入学が許可されず、
将来が不透明なままやってきたのです。
この、素直で明るいワカモノと、
沈滞気味だったヒラリーの間に、「物語」が生まれます……

……と、「恋愛映画」的な紹介の仕方をしましたが、
そしてそれが縦糸ではあるんですが、
この映画には多くの横糸があり、それらも魅力があります。
絵も、とくに色味が作品と合っていて、美しいです。

1980年と言えば、サッチャーが就任して間もない頃ということになります。
実際、彼女が政権についてから人種差別が激しくなった、
というようなセリフも出てきます。
(これは映画には出てきませんが、
サッチャーは、アパルトヘイト廃絶にも消極的だった、
と言われています。)

また、これはわたしにとっては大学生時代であり、
劇中に出てくるバンド、スペシャルズなどは、
レコードを買って聴いた記憶があります。
あの時代、イギリスで、
彼らが人種を越えたバンドであるという点に、
これほど注目が集まっていたなんて、
考えもしませんでした。
(わかってない大学生でしたねえ……)


なつかしい~!