2009年5月19日火曜日

新人作家


先日発表になった「文学界新人賞」、今回は、イラン出身の弱冠29歳、シリン・ネザマフィ(画像)の「白い紙」が受賞しました。

で、文学界6月号掲載の受賞作、読んでみました。これはまあ、イ・イ戦争中のイラクを舞台とした、「青春恋愛小説」、なんだか懐かしいくらいの。

たしかに、自己顕示とか、しゃらくさい詭弁なんてものは全然出てこなくて、そういう意味では、端正で、好感が持てました。が、日本語のレベルは、100点とは言えないようです。(もちろん、漢字を使わない国の出身者なので、それはもう大したものにちがいありません。100点ではないというのは、一般の日本の小説として、ということです。)そういえば一昨年、楊逸がこの賞を取った時にも、それに近い印象を持ちました。

今は、たとえば翻訳ものでも、素晴らしい文章で書かれているものがあります。まあ翻訳というのは、半分以上日本語の力なのでしょうね。

で、わたしの場合は、ネザマフィや楊逸などの活躍により、日本の書きものシーンが活発になるのは大歓迎ですが、一方で、この日本語のレベルだと、ちょっと読むのがしんどいなあ、とも思ってしまうのでした。(トータルでは、前者の思いのほうが大きいですが。)

「読む快楽」を引き連れた言葉。それは、望みすぎでしょうか?