2009年9月21日月曜日

Yの旅


理系本5冊目は、おなじみ福岡ハマセの『できそのないの男たち』(光文社新書)。なんとまあ、あきれるほど面白かったです。

タイトルだけだと、なんだかストレス社会の男たちへの挽歌、という趣ですが、実際は明らかに理系本です。この「できそこない」というのは、生物学的に、ということにほかなりません。

男と女を比べると、それは女のほうが丈夫なんだ、っていうような話は、たびたび目にします。この本の中でも、それはもう徹底的にその点が明らかにされます。たとえば、男女の平均寿命の差は、本当に環境因子(ストレスが多い、とか)だけなのか? もしそうなら、なぜ、世界のあらゆる地域で、そしてあらゆる年齢階層で、常に女が長命なのはなぜなのか? それは、そもそも生物学的な出発点がちがうからではないのか? ということにもなります。

でもこの本は、そこいらで断片的に耳にするような話のレベルではまったくありません。特に、「Y染色体の旅」、つまり人類以上における「男」の旅を、Y染色体に注目して読み直すあたりは、感動します。もしかして自分も、チンギス・ハーンの子孫か? なんて想像したりして。そうなんです、Y染色体を調べれば、それが分かるかもしれないんです!

スリリング、とは昨日も書きましたが、これは今日も書かなくてはなりません。きわめてスリリングです!