2010年4月4日日曜日

社会派


ラッセル・クロウの「消されたヘッドライン」を見ました。社会派サスペンスとして、とてもいい出来だと思います。

ラッセルは、やや古めかしい無頼派風新聞記者。もとルームメートの新進政治家がスキャンダルに巻き込まれますが、その背後に巨悪の匂いが。(軍事産業会社です。)

この映画の何がいいかというと、人物の造形がしっかりしていることです。上の2人はもちろん、議員の妻、らラッセルの上司、同僚、はてはチンピラに至るまで、とてもきっちり考えてあります。監督(か脚本家か)の、人間理解が「大人」です。

よろしければ予告篇です: http://www.youtube.com/watch?v=aciI8EDmB9w&feature=channel

もう大昔のことですが、この手の、いわゆる社会派映画に目覚めたきっかけは、「質屋」という映画でした。これは、後年の「スモーク」にちょっと似て、舞台はNYの質屋。ただしその店の主人は、強制収容所で妻子を亡くした人(ロッド・スタイガー)。で、そこに勤める若者が、なんと自分の店に強盗に……


NYの質屋という設定だけで、もう面白そう。当然そこには、色んな人が、色んな事情を抱えてやってくるのですから。

そしてそれ以来、「質屋」の監督であるシドニー・ルメットはずっと見てます。(「質屋」より前の作品、12 angry men は、その後に見ました。)中にはかなり商業的な作品もありますが、でもどこか、彼の作品には気になるところがあります。もちろん、わたしなんかが今さら何も言う必要のない巨匠ですが。

今回見た「消されたヘッドライン」は、ルメット風というわけではないけれど、わたしはとてもいいと思いました。