2015年5月11日月曜日

Bienvenue chez les Ch’tis

アルジェリア生まれで、
フランスとアルジェリア、2つの国籍を持つカド・メラッド。
彼の出演作はとても多いですが、
たとえば、主演した

http://tomo-524.blogspot.jp/2014/02/jinvente-rien.html

や、ヒロインの父親役だった

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/10/je-vais-bien-ne-ten-fais-pas.html

などが思い出されます。

そのカドが主演したコメディー、

Bienvenue chez les Ch’tis

を見てみました。
監督は、準主役であるダニー・ブーンです。

https://www.youtube.com/watch?v=_ZbGb8Tzi6o

南仏で郵便局員として働いているフィリップ。
彼には小学生の息子と、きれいな奥さんがいるのですが、
この奥さんが、ちょっとマイナス思考。
とにかく、コートダジュールに転勤してくれないと、
わたしの人生は……みたいに思い込んでいます。
が、フィリップの奮闘もむなしく、
転勤先はリールに近い北部に決定。
あわれフィリップは単身赴任となってしまいます。が、
この北部の町、
どんなにおそろしい未開地かと思いきや、
とても気のいい仲間たちに恵まれてしまいます。
その結果、彼らと、心配して優しくなった奥さんと、
この二重の生活は逆にハッピーなものに。
けれど、ある日、ついに奥さんが、
わたしも北部に行くと言いだして……
というわけです。

おもしろさのポイントは、
もちろん、北部の様子。
野蛮人が住む極寒の地、
というイメージと、
そのイメージを知っていて自虐的に楽しむ現地の人の陽気さ。
このへんが、とてもなごみます。
タイトルの Ch'tis は、この北部人、
ないし彼らの使う ch の音の多い方言を指します。
この言語は、彼らのアイデンティティーだと言ってもいいでしょう。

これは北部に限らず、
ブルターニュやバスクやプロヴァンスでもそうでしょうが、
パリ人にはわからない俺たちの言葉、
というのは、
やはりアイデンティティーに食い込んでいるでしょう。
そもそも「フランス」とは別の集団だったし、
革命時には、いっそ独立、を主張したわけですから。

方言の面白さが前面に出ているので、
日本公開は難しいかもしれませんが、
おとぎ話めいた、
心休まるお話しでした。

*チョイ役(モモ)で、ジヌディーヌ・スアレムの顔も見えました。