スピルバーグの、
『太陽の帝国』(1987)
を見てみたのは、
1990年代に再開発される前の上海が、
映像化されているからでした。
https://www.youtube.com/watch?v=VnRkV1aStV0
舞台は、1941年と1945年の上海。
主人公は、上海の共同租界の大豪邸で暮らす大金持ちの息子、
ジェイミーです。
彼が、日中戦争突入後、
親とはぐれて日本軍の捕虜収容所に入れられ、
生き延び、
そして両親との再会を果たすまでの物語です。
設定としては、
(というか、原作の自伝的小説があるそうなのですが)
ジェイミーは嫌味なボンボンで、
日本の零戦が大好きな少年です。
租界にいたイギリス人(やアメリカ人)は、
この映画に従えば、基本的にお金持ちばかり。
ただ彼らは、その後日本軍の捕虜となるわけです。
最後は、アメリカが原爆を落とし、
日本は負け、捕虜たちは解放されます。
実話に基づいている、
というエクスキューズがなければ、
この映画はちょっとよくわからない。
ジェイミーはたしかにたくましい子供ですが、
戦争について、
なんならアヘン戦争について、
階級について、
中国の庶民について、
日本軍について、
原爆について、
どう考えているのか、伝わってこないのです。
これもまた、
主人公が子供だからというのが、
「考えてない」ことの理由とされるのでしょうか?
それでは不十分なのでは?
と、わたしには感じられました。
ただ、上海の街は見るという目的は達しましたから、
よしとすることにします。