『花咲ける騎士道』(1952)
です。
ジェラール・フィリップ主演の、
いわばチャンバラ・アクション映画で、
なかなか楽しめる映画でした。
(見たのは数十年ぶりですが、
印象は当時とあまり変わりませんでした。)
ジェラール・フィリップがカッコいいのは議論の余地はないと思いますが、
ただ、正直言って、
彼のこの作品はいいよね!
といえるようなものが、
すぐには思い浮かばないのも(わたしの場合)事実です。
そしてその理由は……
やはり、彼の演じている役どころが、
基本的に「現代人じゃない」という点にあるのだと感じます。
多いのは、19世紀文学の人物たちで、
また今回の、
これ以降彼のあだ名にもなった「ファンファン」役も、
革命前のワカモノなのです。
民主主義も、
二度の世界大戦も、
ドイツによる占領も知らない人物が、
1952年に、
チャンバラをしているわけです。
これは何なんでしょう?
それはつまり、
忘れたい、現実逃避したい、
という大衆の願望の結果ではあるのでしょう。
そしてジェラール・フィリップは、
見事すぎるほど、
それに応えたのでしょう。
この映画の2年後には『ゴジラ』が目を覚まします。