2008年5月27日火曜日

空を滑る


昨日の収録の合間、といっても「休憩時間」ではなく、本当に録音と録音の間の1分間待ちの間に、わたしはふと、レナさんに訊いてみました。

                                               「光陰矢のごとし、は……?」
「Le temps s'envole. 時は飛び立つ、かな」
「鳥みたいに?」
「そう。地面から。枝先から」
「じゃあ英語とちがうね?」
「英語は、Time flies... like an arrow. そうか、矢のように、か」
「s'envoler(飛び立つ)は、fly と同じじゃないでしょ?」
「ちがうんですよ。fly は、voler(飛ぶ)だから」
「そういえば、planerプラネっていう動詞あったよね」
「え~と、日本語だと?」
「フツーはね、滑空する、って訳すのかな」
「カックウ? 聞いたことないなあ」                                            
                                               何を隠そう、わたしが「滑空する」という日本語を初めて知ったのも、大学生の頃、辞書でこのplaner を引いたときでした。鷲のように、グライダーのように、空を滑る…… planer=滑空する、という語を知り、ほんの少し、世界が精巧なものになった気がしました。そして今でも、これはまあまったく勝手な使い方なのですが、長く続く坂道を、アクセルもブレーキも使わずに運転しているときなど、この planer=滑空する、という語が頭をよぎります。


「でもね」とレナさん、「Je plane ! (わたしは滑空してる。)って言うと、わたしはぼ~っとしてる、心ここにあらず、って感じなんですよ」
「はい、ではオープニングの音楽流します!」


そのシゲピョンの一声で、二人は仕事モードに。10秒後には、Fergie(ファーギー)の「パラダイス」が流れ始めます。さ、いくぞ!