今日の東京は、午後には日差しもあって、なかなか気持ちのいい日でした。
そして今日は、仕事も一段落した(ことにした)ので、
楽しみにしていた本を開くことにしました。
木坂涼さんの新詩集、『ある日』です。
木坂さんの詩は、ほんとに日常的でありながら、
その日常が波のように広がっていきます。世界のほうへ。
そして読む者の胸には、あたたかさが残ります。
(あたたかさ、は、さびしさ、と言い換えられます。
なんといっても、わたしたちは生きてるんですから。)
この『ある日』も、まさにそんな詩集。
すべての詩が、
ある日、
から始まります。たとえば、
ある日、
私は改札を出て傘をひろげた。……
とか、
ある日、
「あさって夕方からカレーパーティーをするから、スプーンを
持って参加して」と大学の学食で誘われた。……
あるいは、
ある日、
私はメンフィス動物園にいた。……
さらに、
ある日、
私は猫を風呂に入れた。……
「……」の部分には、時に淡彩、時にカラフルに、人が、生き物が、
時間が、空間が、さまざまに生きています。
この詩集を読んだきっと誰もが、
その人の「ある日」をたどり、思い出し、重ね合わせるでしょう。
木坂さんは遠くにいて、わたしたちの思いに耳を澄ませくれているでしょう。
さらりとしたカバーの紙質、箔押しされた「ある日」。
何度も撫ぜてしまいまいた。
http://www.shichosha.co.jp/newrelease/item_263.html