2004年のアルゼンチン映画、
『僕と未来とブエノスアイレス』
を見てみました。
https://www.youtube.com/watch?v=bGQh5OIBtgo
舞台はブエノスのユダヤ人街、オンセ地区、
その下町風商店街です。
そこでは、イタリア系、韓国系、リトアニア系など、
さまざまな
出自を持つ人たちが商売を営んでいます。
そして、ホロコーストを逃れてポーランドを離れた祖父を持つ主人公は、
経済危機にあえぐアルゼンチンを逃れヨーロッパ人になるべく、
祖父母の出生証明を利用して、
ポーランド国籍を取得しようとします。
(それは成功します。)
そしてその過程で、自分自身の出生の秘密が発覚し……
というお話です。
日本版DVDのパッケージには、
「ユダヤ人」の「ユ」の字もないので、
こんな話だとは思ってなかったのですが、
このユダヤ人街の描写は、なかなかおもしろかったです。
一方、縦糸ともいうべき、
パスポート取得と出生の秘密のほうですが、
これはどうも、ややゆるい印象が残りました。
この主人公のようなモラトリアム青年の話は、
おうおうにしてそうですが。
ただ、これが現代なんだと言われれば、
たしかにそういう面もあるわけです。
個人的には、ラビになるのが夢だったのに、
いまは怪しげな輸入販売をしている主人公の兄の生活と意見が、
気になりました。
彼には「生活」も「仕事」もあり、
モラトリアムというぬるま湯に浸かっているわけではないからです。
こちらをメインにして、
弟の話をサブに持っていけば、
もっと「リアル」なものになったのに、
と思ってしまいました。