昨日の天声人語に、
管さんの
『本は読めないものだから心配するな』(左右社)
から、
一節が引用されていました。
それは、以下の文章中の、
ボールドの部分です。
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読書とは、一種の時間の循環装置だともいえるだろう。
それは過去のために現在を投資し、
未来へと関連づけるための行為だ。
過去の痕跡をたどりその秘密をあばき、
見出された謎により変容を強いられた世界の密林に、
新たな未来の道を切り拓いてゆくための行為。
(……)
読書の戦略とはさまざまな異質な過去を、
自分だけでなく無数の人々が体験しその痕跡によってなぞってきた過去を、
どのようにこの加速の機構をつうじてひとつに合流させてゆくかということにほかならない。
そしてこの流れだけが想念に力を与え、
自分だけでなく、「われわれ」の集合体の未来を、
実際にデザインしてゆく。
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今、管さんはUCLAに滞在中です。