寡作で知られる松浦理英子の、4年ぶりの新作、
「最愛の子ども」 (「文学界」2月号)
を読んでみました。
17歳の、女子高校生たち。
男女共学なんだけれども、
男女別クラスという学校での、
<妻>である今里真汐、
<夫>である舞原日夏、
<子>である薬井空穂、
の3人を中心とした物語です。
語り手である「わたし(たち)」は、
なんというか、未分化な状態にあるナニカであり、
特定の「個」ではありません。
と書いても、わかりにくいですね。
女子高校生3人が、家族だなんて。
でも、そうなんです。
3人それぞれにとって、
そして「わたしたち」にとっても。
冒頭、この「わたしたち」の内実を形成するらしい人物が次々に登場するところでは、
人物が多くてちょっと不安になりましたが、
そこを過ぎれば、
もう、めくるめく物語の世界に引き込まれます。
多様なセクシャリティー、と言えばそうなんですが、
この小説は、
そうした「枠」からまったく自由。
デリケートで、
同時にそうした自分への視線は厳しくもあり、
エロティックで、
同時に冴えた覚醒もあり、
情愛にあふれ、
それははかなくもあるという、
これは、傑作と呼べると思います。
わたしは雑誌で読んだのですが、
当然やがて本になるでしょう。
そして、
大いに話題になるでしょう。
書評がありました。
http://www.nishinippon.co.jp/feature/literary_trend_story/article/305119