蔦屋でぶらぶらしていて、
この映画を見つけました。
『奇跡の教室 受け継ぐものたちへ』
去年、結構話題になった作品です。
http://kisekinokyoshitsu.jp/
原題は
Les Héritiers
で、今過去ログを見たら、
一昨年の7月に、簡単に触れていました。
http://tomo-524.blogspot.jp/2015/07/blog-post_88.html
で、あまりに簡単にしか触れていなかったことに気づいたので、
ここでもう一度書いておくため、
また見直しました。
かなりアレテイル、パリ郊外の高校。
全校で見れば、
生徒たちの所属するコミュニティーは29にもなると校長は言いますが、
中心的に描かれるクラスもまた、
そう言う感じです。
で、
このアレテイル生徒たちをまとめ、
なにかある方向に向かって進むことを教えるためなのでしょう、
女性教師は彼らに、
ホロコーストに関わるコンテストに出場することを提案します。
それをきっかけに、
生徒たちは変わってゆく……
HPのコメント欄で、
バラカンさんが指摘している通り、
ストーリーそのものと同じくらい、
生徒たちのクローズアップの表情が印象的な作品です。
で、
わたしにとってはやはり、
これはまぎれもなく「クレテイユ映画」だなあという気が、
どうしてもします。
というのもクレテイユは、
移民の多い「郊外」であると同時に、
パリ有数のユダヤ人コミュニティーが存在する街だからです。
この映画で、ホロコーストが大きく扱われるわけですが、
それはクレテイユという街と切り離すことはできないのです。
実際クラスには、
ヨーロッパ系とアフリカ系、
二人のユダヤ人少女がいます。
また、主人公とも言えるマリック(=当然ムスリム)は、
イスラエルに出かけるという、
近所のマダムの飼っているエルヴィス(インコです)の
世話をすることを引き受けます。
ここにはもちろん、
共生という現実があるわけですね。
また途中、きれいなモスクが出てきますが、
これはクレテイユ湖の西側にある、
Mosquée Sahaba de Créteil
です。
このモスクは、
この映画でもメルクマールとして使われていました。
http://tomo-524.blogspot.jp/2015/12/le-noir-te-vous-va-si-bien.html
そしてクレテイユ映画の代表格、
『セリ・ノワール』については、
ここで書きました。
http://www.jiji.com/jc/v4?id=hssfranse-007-16100001
◆追記:
主人公は、
マリックというムスリムの男子生徒。
彼は、ある場面で、
「カメリアっていい子だよね」
と言うのですが、
彼女はユダヤ人なのです。
で、
物語の最後、
二人は手を繋いだりもします。
(カメリアの父親は、
挨拶してくるマリックを無視しますが。)
つまりこの映画は、
「アラブ―ユダヤ映画」でもあるわけです。
これは、
とても重要な点だと思います。
◆追記2
生徒委員でアフリカ系のマックスが、
ルワンダ虐殺の話が出たところで、
「コルネイユだ!」
と叫んで歌い出すのは、
わたしも好きな、この歌です。
https://www.youtube.com/watch?v=BjIUDSK375Q
コルネイユが、両親をこの虐殺で失くしたことは、
やはり広く知られているようですね。