2017年3月2日木曜日

『あたらしい名前』

ジンバブエ人で、
今はアメリカに住んでいる、
1981年生まれの女性作家、ノヴァイオレット・ブラワヨ。
彼女の

『あたらしい名前』(早川書房)

は、去年の秋ごろ話題になっていましたが、
やっと読むことができました。
これは、おもしろい。

舞台は、前半はジンバブエ、後半はアメリカ。
時代は、2008年から、2011年まで。
これはつまり、
ジンバブエで選挙が行われ、
あのムガベが反対者を弾圧し、
そしてアメリカではオバマが選ばれた年から、
ビン・ラディンが殺害され、
東日本大震災が起こった年まで、
ということになります。
主人公のダーリンは、この間に、
10歳の少女から、思春期に向かいます。

というわけなので、冒頭は、
10歳の少女の一人称なので、
これは子供視点の小説?
と思うのですが、
ヒロインの成長にしたがって、
視点もまた深みを帯びてきます。
ただ、微妙なのは、
この「深み」が大人風のそれではないこと。
つまり、イデオロギー的でも、
政治的でも、達観のようでもない。
そして日常の、リアーナや、マックや、
男の子とのデートの背景に、
大きな現代史が溶岩のように流れているのです。

ちょっと探しただけで、
いい書評が2つもありました。

http://style.nikkei.com/article/DGXKZO06843800T00C16A9MY6001

http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2016092500006.html