しばらくジャン・ルノワールを見てきたわけですが、
前回からの主役は、ジャック・ベッケルです。
で、今日は、
ジャン・マレーの『悲恋』を通して、
「占領期のフランス」の雰囲気を思いっきり想像した後に、
まさに「戦後」らしい一作、
『幸福の設計』を見てみました。
こんな内容です。
院生たちとも言っていたのですが、
やっぱり、「戦後」の作品はとても近く感じます。
消費はすでに人々の心を捉えていて、
来たるべき「消費社会」の姿がはっきり予感できるようだし、
バイク、メトロ、クルマ、など、
速度を感じさせるモノも次々に登場します。
もちろん「文化」も。
この映画、わたしも院生たちも、
とても好きでした。
DVD は 1,100円です!
そして『悲恋』のほうですが、
これは映画としては、突っ込みどころが多く、
まあイマイチだった、かな?
特に、主役の叔父である城主の内面がほとんど見えないこと、
これは大きな弱点だと思いました。
(まあ、「トリスタンとイゾルデ」の翻案なんですでどね。)
で、
皮肉なことを言うようですが、
この作品の見所は、
そうした非現実感、そして(美しい)停滞感、なのでしょう。
それこそが、占領された国の人間が求めたなのだ、と感じてしまいます。
そしてもう1点大事なのが、「ドイツ感」。
見ていて、フランス映画というより、
ドイツ映画の雰囲気です。
そう、雰囲気も、風景も、お城も。
やはりこれも、ドイツに占領された国の人間が、
(無意識に?)求めたものなのでしょう。
まあ、多くのフランス人は、
この指摘をいやがるでしょうが。