今週は、
『7月のランデブー』(1949)
『エドゥワールとキャロリーヌ』(1951)
を見てみました。
前者はこれです。
これはスピード感のあるおもしろい映画です。
パリの中心部が何カ所か出てくるわけですが、
周辺への視線はありません。
で、後者。
これは物語は単純で、
エドゥワールとキャロリーヌの若い夫婦の、
喧嘩したり仲直りしたり、を描いています。
エドゥワールは、売れないピアニスト。
インテリなのでしょう、百科事典を大事にしています。
キャロリーヌは、大ブルジョワを叔父に持ち、
でも周囲の反対を押し切り、
「身分違い」の結婚をしているわけです。
若いし、ドレスも、おしゃれも、ポップスも好き。
ただ、フランス語を書くときに、
複合過去時制において、過去分詞を、
「間接」目的語に性・数一致させたりもします。
(すぐに気づいて直しますが。そしてこの部分、
字幕では一切説明がないので、
フランス語を勉強していないと、意味がわかりにくいでしょう。)
若い妻は、夫のために、
叔父にパーティーを開いてもらったようです。
そこに、叔父のブルジョワ仲間を呼び集め、
エドゥワールに演奏させることで、
今後彼に仕事が回るようにすることが目的です。
ただ…… この計画は頓挫しかけます。
エドゥワールが、喧嘩したままの妻のことが気にかかり、
演奏できなくなってしまうからです。
でも最終的には、
スペンサーと名乗るアメリカ人実業家が、
彼の窮地を救うことになります……
つまりこの映画は、
ブルジョワ階級と中間層が、
文化を基盤として協働を目指すも困難が多く、
それを、「アメリカ」が援助し、支えていく、
という構図だと読み取れます。
『7月のランデブー』では、
主に(広い意味での)文化を通して、
若者たちに広く浸透していた「アメリカ」が、
今度は、
資本として、
きわめて具体的で即物的な存在として、
目に前に現れる、という感じでしょうか……
というようなことを、
院生たちを話し合ったのでした。
ちなみに、エドゥワールを演じたのは、
『7月のランデブー』でも主役だった、ダニエル・ジェラン。
そしてキャロリーヌ役は、
後に『シェルブールの雨傘』で、
ヒロインの母親役を演じたアンヌ・ヴェルノンです。
彼女が演じるキャロリーヌは、とても魅力的です。
そうそう、『7月のランデブー』のほうで、
上手くいくカップルの男性を演じたのは、
なんとあのモーリス・ロネ。
『鬼火』で主役、
『太陽がいっぱい』では、
アラン・ドロンに殺される青年を演じていました。
この『7月のランデブー』が、
彼のデビュー作です。