『駅馬車』(1939)
を見ました。
たしか、わたしの記憶では、
淀川長治さんが、「一番好きな映画」と言っていたはずで、
一台の駅馬車に乗り合わせた人たちの人生模様、
を描くロード・ムーヴィーだと言えそうなんですが、
アクションあり、
人情あり、
社会の階層性あり、
生と死あり、で、
よくできた映画なのは間違いないと思います。
ただし、
主役のジョン・ウエインが背負っているのは、
これはまちがいなくマチズモであり、
それがなんの疑いもなく肯定されているのは、
時代と言うべきなのでしょう。
女性は、
彼の恋人にして元娼婦であるダラスと、
アメリカ兵を夫に持つ臨月のルーシーが登場するんですが、
いずれも「銃後」の立場で、
マチズモを心配しながら見守るばかり、という感じです。
これも時代でしょう。
1つ興味深いのは、
このルーシーが生み、
しばらくはダラスが面倒見る赤ちゃんです。
この女の子は、なんの象徴になっているのでしょう?
未来のアメリカ?
それとも、
今後も続くぶ厚い「銃後」?
一方、
このルーシーと感情的なやりとりを行なうワルモノは、
同じ駅馬車に乗り込んできたものの、
アパッチの襲撃を受けたときに、
ただ彼一人、殺されるのです。
悪は処罰される、
あるいは、米兵の妻に横恋慕するヤツは処罰される、
でしょうか?
そして……
もう今ではマイナスの価値でしかないこのマチズモが、
タイトルの中に入りこんでいる映画が今年公開された、
と院生が言うので、それも見てみることにしました。
『クライ・マッチョ』です。
(続く)