2022年6月9日木曜日

『脱出』

大学院のゼミでは、
先週、『カサブランカ』を見ました。
で、今週は、
この『カサブランカ』を思いっきり意識した作品、

『脱出』(1944)

を見てみました。
ハワード・ホークス監督で、
原作はヘミングウェイ。


時代は1940年、フランスがナチに占領されたばかりの頃です。
場所はマルチニック。
そこで、小型船の船長を務めるハリー(ボガード)が暮らしています。
そして彼の行きつけの酒場兼宿屋に、
訳ありの女性(ローレン・バコール)、
レジスタンスの闘士(フランス人)、
ヴィシー政権の手先、
等が入り乱れ、
ハリーはあやうい選択を次々に迫られて……

ざっと見ても、
『カサブランカ』の換骨奪胎は明らかで、
これはもちろん、わざとやっているわけです。
でも!
なんというか、タッチというか、テクスチャーというか、
それは2作で随分違います。
かたやロマンチックな「物語」、
かたやつむじ風も走る都会的な洒脱/緊張、
とでも言えばいいんでしょうか。
その差がはっきり出ているのが、二人のヒロイン、
バーグマンとローレン・バコールの雰囲気の違いでしょう。
これがデビュー作であるローレン・バコールは、
とても魅力的に描かれています、
これは院生たちとも話したんですが、
ローレン・バコールは、
「守ってほしがる女性」
とはほど遠いのです。
スクリューボール・コメディが得意なホークスにとって、
女性は、
いわば対等な、キャッチボールの相手なのでしょう。