2022年6月1日水曜日

『カサブランカ』

大学院ゼミ、
今日は「名作」の誉れ高い

『カサブランカ』(1942)

です。
監督は、前回の
『汚れた顔の天使』と同じく、
マイケル・カーチスです。
わたしは数十年振り。
院生たちも久々だったり初めてだったり。


舞台はモロッコのカサブランカ。
WWⅡの真っ最中で、
フランスは、ドイツの傀儡ヴィシー政権の下にあります。
いきなりラストの話で恐縮ですが、
地元の警察署長が、
Vichy Water 
と書かれた瓶をゴミ箱に投げ入れ、
さらにそのゴミ箱を蹴っ飛ばす、
というシーンがあります。
むしろ実利主義者に見えるこの公務員でさえ、
周りに人がいなければ、
ヴィシー政権に対してこんな態度だよ、
ということなんでしょう。
とても分かりやすいです。
が、
その分、「ロマン」チックでもありますが。

バーグマンはとてもキレイです。
彼女の役どころは、
オスロから出てきて、
知識人で見かけもいいラズロと出会い、
彼を尊敬し、
それを「愛」と取り違えて結婚する女性であり、
また、
ボガードからは、
Here's looking at you, kid.
(「君の瞳に乾杯」←意訳ですね)
と、幼く見られていると考えられる女性です。
(kid と呼びかけているわけなので。)
たしかにバーグマンは適役にも見えます。
ただ、
院生たちと、
もし今この作品をリメイクするなら、
という話をする中で、
この役にふさわしい女優を検討してみたんですが、
いないんですね、これが。
というのも、
シャーリーズ・セロンやサブリナ・ウアザニは言うに及ばず、
現代女優はみな、
「従順」ではなく、
個人の意思で行動できるペルソナを持っているからです。
マリオン・コティアールなんか合う気もするんですが、
いつか、
隠し持っていた銃を撃ちまくりそうでもあるし。
ノオミ・ラパスだったら、
実は彼女こそレジスタンスのリーダーだった(!)
てなことになりそうです。
現代においてはもう、
バーグマンのような、原節子のような、
「美しく従順な女性」はいない、
というか、いらないのでしょう。
(もちろん、現実の生活においては、
バーグマンだって「従順」ばかりではなかったわけでしょうが。)