2022年7月28日木曜日

大学院ゼミ、前期ラスト

ラストの大学院ゼミは10時開始、
ランチを挟んで2本立てでいきました。

午前中に見たのが、

『白鯨』(1956)

です。
ジョン・スタージェス監督の作品の中では、
どうも「評価が低い」ものらしいのですが、
アダプテーションの観点からこの映画を取り上げている論文があったので、
見てみました。
でその後、みんなでその論文も読みました。
(『アメリカ文学と映画』所収)

映画内では、
あのヨナが鯨の体中で三日三晩過ごす物語が神父によって語られ、
主人公である偏執狂的船長エーハブは、
見た瞬間にリンカーンに似ていて、
船が白鯨を求めて向かうのはなんとビキニです。
(映画の公開は、第五福竜丸事件の2年後です。)
そしてこうしたかなりスパンの長い時間意識を背景に、
「白」い鯨と、「赤」い旗と、「黒」い肌の助手と、
ネイティブ・アメリカンの民族の名を持った船が登場する、
という指摘です。
おもしろい論文でした。

そして午後は打って変わって、

『キューティーブロンド』(2004)

です。
これは、映画そのものと言うより、
このヒット作がどこまでハリウッドの作劇セオリーに則っているか、
を確認するために見ました。
映画としてはとても浅いし、突っ込み処も満載ですが、
おとぎ話としてみれば、
やはり教科書通りの、
スムーズで明確な構成をなしていました。
職人技、ですね。

まだまだ勉強すべきことが多いです……