というわけで、昨日は管啓次郎オープンゼミ第二夜でした。ゲストは田中功起さん。まだお若いんです。
田中さんの作品は、you tube でけっこう見られます。たとえば buckets & balls
楽しいですね!
「アート」とか「藝術」なんていうと、なんだかミョーにお高くとまっていたり、はたまた重大な「メッセージ」を読み取ることを強要されたり、そもそもつまらなかったりもします、残念ながら。
学生に映画を見せると、「意味/意図がわからない」という感想が寄せられることがあります。で、「意図」を読み取ろうというんじゃなく、楽しめばいいの! と答えることもできます。(実際そうなんですから。)が、実は学生は、要は「つまらない」と言いたいんですね。意図やストーリーが不鮮明でも、「わからないけど面白かった」という感想になることもありますから。
そう、作品は、とにかく魅力がなくてはだめです。すべてはそこからです。どんなに高級な政治的メッセージが込められていても、つまらなければ作品としてはだめです。
その点、buckets & balls は、面白いですね。見ていて、楽しいです。(楽しくないけど魅力的、というのもありえるでしょう。)
昨日田中さんの作品を見ていて、素人のわたしが「これ面白いぜ!」と思ったのは、How to wash my dirty clothes でした。これはね、ベルンのパウル・クレー美術館(画像)での展示だったそうなんですが……
上の画像から分かるとおり、波打ってるんですね、この美術館。(設計はあのレンゾ・ピアノ。ポンピドゥー・センターも、関空も。)で、田中さんは、この「谷間」の部分に紐を渡し、なんと洗濯物を干しちまったのです! しかも室内には、洗濯機&洗剤まで!
ふざけてますよねえ。ほんと、こういうふざけかた、大好きです。(でも田中さん、子供時代は「まじめ」だったそうです。)しかも、会期の終盤には、ほかのアーティストまで、俺にも洗濯させて! と言い出し、実際洗濯して干したそうです。みんなふざけてます!
こういう展示を、たとえば「異化効果」とか、「デペイズマン」とか、「既存の枠組みに揺さぶりをかける」とかいう言葉を使って説明することも、不可能ではないでしょう。でも、大切なのは魅力、とわたしは思います。能書きだけじゃね。
みなさん、クレー美術館に、色とりどりの洗濯物が翻っている様子を想像なさってみてください。イケてます!
今後の田中さんの活動が楽しみです!
◇
ほんの一週間のつもりでしたが、コメントしてくださる方もいて、まだ開けてます。
オープンゼミにも、来てくださったんですね。スーツの似合うマサタカさん、またお目にかかれて嬉しかったです。pistachio さん、声かけてくれればよかったのに!