この前発表になった芥川賞、「ポトスライムの舟」を読みました。
書き手の女性は、1978年生まれ。若いです。読みやすくて、現代的で、面白かったです。
芥川賞は、出るたびに読みます。いつも、掲載されている文芸春秋を買って読み、それから選評も読みます。それぞれの選者の感想が揃うことはむしろ稀で、読むことの広がりというか、難しさというか、そういうものを感じます。
今回は、前回の受賞作「時が滲む朝」とはまったく違う、わたしたちの日常から地続きのお話です。29歳の契約社員(女性)の生活を、昔の同級生たちの生き方と並走させています。時給などがリアルに書かれていて、まさに「リアル」です。
昔、たしかモームだったと思う(違ってたらすみません!)のですが、小説の中の食事代とか、旅費とか、なんなら給料とか、いったいいくらなのかはっきり書いてくれ! と主張するエッセイを読んだ覚えがあります。たしかにね、わたしたちの生活では、たとえばカフェモカのショートとトールではいくら違うのかは、大問題ですね。だから、そのへんを完全にすっ飛ばした小説に違和感が湧くのも、よくわかる気がします。(もし同感でしたら、「ポトスライム」、読んでみてください。)