2009年10月1日木曜日

おしゃべり


火曜のゼミの折り、学生1人1人に自己紹介してもらったと書きました。そして答えるべき項目に、「趣味」も入れておきました。

意外に(?)人気があったのは、スポーツ観戦でした。サッカー、野球、バスケ…… 特にバスケは、トータル34人中4, 5人いて、ああこんなにいるんだ、と思わされました。

で、中で1番印象に残った答えはというと……、それは「おしゃべり」です。

そう答えた女子学生(山ちゃん)は、たまたまフランス語もわたしの担当クラスなので、後期は週に2回会うことになります。もちろん彼女以外にも、週2回会うことになる学生は何人かいます。ま、それはいいとして。

18, 19歳というと、ちょっとは「イキッテ」みたい年頃です。そういう「イキリ」が、うまくベンキョーの情熱になるなら、それもまたいいことでしょう。でも、「イキッテ」いる学生は、趣味を訊かれたとき、「おしゃべり」とは答えないですね。

だからまず、わたしは山ちゃんの素直さに驚きました。(彼女は決して、裏返しの「イキリ」で答えたのではないはずです。)そして一拍遅れて、その「おしゃべり」という答えが、じんわり沁みてきたのです。

今月号(か先月号)の文藝春秋に、外山滋比古がエッセイを書いていました。老境ではおしゃべりがとても刺激になる、とりわけ他分野の人と話すのは、目を開かれる思いがする、と彼は言うのです。僭越ながらわたしも、同感だなあ、と思って読みました。

山ちゃんが言ったのは、必ずしも「他分野」の人とのおしゃべりのことではないのでしょう。でも、突き詰めて言えば、誰にとっても他人は常に「他分野」だとさえいえる気がします。だとすると、やはりすべからく「おしゃべり」は刺激的だ、となるのでしょうか。

今日は4時間目からの授業だったので、早い午後、資料室に行ってプリントを作っていました。するとそこに、ミスター・ハプスブルクと呼ばれる(?)K先生がコーヒーを飲みにいらっしゃり、それから、そうですねえ、約30分ほど、マリー・アントワネットのこと、コーヒー豆が伝播する経路のこと、ビスマルクのこと、近く開かれる記念会のこと、そして来週の7日に配本になるK先生の新文庫、『ハプスブルク家の光芒』のことなどについて、おしゃべりしたのでした……